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不倫裁判百選番外編 「責任」?

0 はじめに

不倫裁判百選では今日の今日まで一貫して、「責任」の中でも不法行為責任の成立、成立をするとしてその責任(主に賠償額)の範囲等に関して、多くの裁判例をご紹介するとともに、考えてきました。「責任」とは何か。ふと、考えてみます。

1 「責任」の語感?

「責任」なる語感には、ネガティブな意味が大きく含まれているように思われます。

少なくとも、何かの責任を負うことになると、それは、現時点の状況に比較して、質や量ともに若干の後退を迫られるニュアンスを感じるのではないかと思います。損害賠償責任を負うのであれば、現時点に比較すると、現預金に代表される金員の減少を意味するでしょう。

2 ネガティブとポジティブのハザマで

私は、責任、とは必ずしもネガティブな意味だけを含むはずではない、と信じています。

一つの事例をみてみましょう。私見に従い、トラブルの2大要素である人間関係とお金のことを素材にしてみます。

わたし、責任をとるつもりです。責任をとって、これからも彼と一緒にいたいんです。もちろん、既婚男性を好きになってしまったことは悪いことかもしれません。でも、今同棲している彼のことを本当に思っているんです。責任を取ります。

「責任」の意味は法的には慰謝料のお支払いを意味するのがポピュラーなところでしょう。

お金を確かに借りましたから、返す責任があります。今、仕事もなくなってしまっていて、お金が厳しいんです。でも、これ以上迷惑はかけたくないので・・責任もって返していきます。

「責任」の意味は、返還債務の履行を意味するでしょう。

こうして考えてみると、「責任」とは、やはり一種の現状の変化、現状がマイナスに向かっているニュアンスをイメージするかもしれません。

3 若干の検討

上記2つの事例は、『責任』を積極的にとることに、ポジティブな意味をも理解することができます。前者の事例では、責任を取って彼とハッピーに、後者の事例では、(できる範囲で)責任を取って解決したい。ハッピーや解決が責任と表裏をなしているように思えます。

法的なジャンルでいうと、前者の事例は不法行為責任、後者の事例は契約上の責任、として整理されます。

私の眼は、前者は、解決の原動力?を、後者は、約束した以上は果たす誠実さ?を見出している。ちょっと大げさでよきように言ってるだけかもしれないけれど、依頼者のおかげで「責任」の意味をポジティブにとらえることができています。



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