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不倫判例百選㉙不倫ことはじめ?

0 はじめに

不倫ことはじめ。魅惑の世界?と思わしき不倫は、不貞行為として法律上の責任を伴い、顛末はご紹介してきているとおりです(それでもいざなわれてしまうのか・・?)。

今回は、発想を転換しましょう。どんなきっかけで不倫ははじまっていくのか。そこに法則性は見いだせるのか。

1 ある格闘家のケースから

東京地方裁判所において平成21年4月23日に出された判決から見ていきます。

原告は,平成14年8月25日,訴訟外配偶者と婚姻し,婚姻後,福岡県内で訴訟外配偶者と同居生活を営み,両名の間に長男が出生した。原告は,格闘技を生業とすることを企図し,平成16年5月に訴訟外配偶者及び子とともに東京都内のマンションに転居し,以後,格闘技の試合に出場したり,道場で格闘技の指導をするなどしていた。原告及びそは,金銭感覚や育児に関する方針の相違等から,ときに口論に及び,原告がAを平手で打つなどの暴力を加えたこともあった。
訴訟外配偶者は,平成17年に本件美容室に赴き,被告がその理容を担当したことを契機として,被告と面識を持ち,平成18年3月ころからは,自己の理容担当者としてもっぱら被告を指名するようになった。
訴訟外配偶者は,同月ころ,Bを伴い本件美容室に来店した際,理容を担当した被告に対し,自らが既婚者であることを話した。
訴訟外配偶者は,同年5月ころ,本件美容室に来店した際,被告とメールアドレスを教え合い,以後,携帯電話や電子メールでやりとりをするようになった。
被告は,同月ころ,訴訟外配偶者を映画鑑賞に誘い,訴訟外配偶者とともに東京都内の映画館に赴いたが,上映時間の都合等から鑑賞を止め,被告方に赴き,レンタルビデオを鑑賞するなどし,訴訟外配偶者は,以後,被告方に度々赴いた。

この後の顛末は、これまでご紹介してきたケースと大きな相違はなく、原告には120万円の慰謝料請求が認容されています。

格闘家と‥師範でしょうか?それとも格闘家のファンでしょうか?格闘技の指導をしている生徒でしょうか?答えはNOでした。

2 法則性は見いだせるのか?

 宮崎地方裁判所において平成28年 5月18日出された判決です。

イ 原告は,平成20年4月,宮崎市役所に就職し,同市役所本庁に勤務していたが,平成26年4月から,同市役所a事務所(以下「a事務所」という。)に転勤し,現在も同事務所に勤務している(甲16)。配偶者は,同年5月まで,b協会に勤めていた(甲16)。
ウ 被告は,平成23年4月,宮崎市議会議員選挙で当選し,同議会議員となり,平成27年4月の同選挙でも再選された。

ご存じの通り、会社の上司や部下の関係、同僚、などでなくても・・不貞行為は突然に。不倫の当事者間には、日常的ではないにせよ、知人といえる程度を超える人間関係があるといえる?

東京地方裁判所において平成27年11月12日に出された判決では、以下の人間関係がありました。

ア 原告は,Aと平成22年5月31日(当時,原告は33歳,Aは34歳であった。)に婚姻し,以降,継続的に同居しつつ円満な夫婦関係を営んでいた。原告とAの間に子どもはいない。
イ 被告は,都内の美容院に美容師として勤務している。被告に婚姻歴はない。
(2)被告とAの不貞行為
ア Aは,平成24年3月頃から被告が勤務する美容院に通うようになった。被告は,同年6月頃からAが既婚者であることを知りながら,二人で食事に行くなどし,平成25年1月,Aと不貞行為をした。
イ その後も,被告は,約1年半の長期にわたり,Aと頻繁に連絡を取りつつ多数回の不貞行為を行い,積極的かつ主体的にAとの不倫関係を続けた。

多少プライベートな関係にふみこんでいる人間関係が必要なのか・・とも思いつつ、上記3例を拝見していると、多少の距離感がある人間関係において、不貞行為に至る事例が多いのではないかと考えたり、考えなかったりして・・・

私個人は、密な人間関係であるより、多少の距離感を保った人間関係のほうが、不倫関係に至りやすいように実感しています。

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