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中原淳一の哲学と品格 3

デザイナーのケイタマルヤマさんは中原淳一好きを公言しています。

以下「ほぼ日手帳」のインタビューより。

イ)丸山さんは、淳一さんのことを、
いつごろ知ったんですか。
小学生のときに、
図書館で『七人のお姫さま』という
童話集を読んで感動したんです。
そこが、最初のきっかけでした。

イ)小学生のときに、童話から。

もっと深く知るようになったのは、
高校生のときです。
高田賢三さんが好きだったんですが、
彼も淳一さんから影響を受けていて。
上京後、弟子入りさせてくださいと、
淳一さんの自宅まで
訪ねたっていう話を耳にしたんです。
イ)そうだったんですか。高田賢三さん、
芦田淳さんが、
住み込みのお弟子さんだったことは、
うかがったのですが。

それで、中原淳一という人のことを
いろいろ調べていたら、
かつて、小学校の図書館で出会った
『七人のお姫さま』とつながって。
その後『それいゆ』を買い集めたり。

イ)高田賢三さんのことが好きだった
高校生の丸山さんが、
淳一さんにたどりついた時点では、
もうファッションの世界
やっていこうと決めてたんですか。
そうですね。
ぼくがまだ子どもだったころは、
まだまだ世の中に、
中原淳一のにおいが残っていて。
イ)におい?

イラストレーターの内藤ルネさんや、
画家・塗り絵作家の蔦谷喜一さんが
出てきたりね。
その後、少女漫画が生まれるけれど、
当時の作家さんには、
淳一さんの影響が確実にあると思う。
そういう「淳一さんのにおい」が、
そこら中に、残っていたんですよね。
イ)ファッションの世界だけじゃなく、
少女漫画の分野にも、
「中原淳一チルドレン」は、いた。

そっちのほうが多いんじゃない?
漫画のほうが。どっちかっていうと。
イ)そうですか。

初期の少女漫画家の人たちをはじめ、
宇野亜喜良さんとか、
金子國義さんとか、
著名なイラストレーターの方たちも、
同じ系譜なんじゃないでしょうか。
イ)なるほど。

この言葉がいいかどうか、
ぼくには、ちょっとわからないけど、
日本の「カワイイ」カルチャーを、
最初に、つくった人だと思いますよ。
淳一さんから枝分かれしていくから。

イ)今に連なる「KAWAII」の原点。

お目にかかってみたかったなあ。
ぼくがもうあと10年、
はやく生まれていたら、
会いに行っていたかもしれないです。
イ)そうですか!
高田賢三さんや芦田淳さんのように。
うん。

イ)では、淳一さんの影響は、
やはり丸山さんご自身のお仕事にも、
影響を与えていますか。
それは、そうですね。
仕事に直接的に‥‥というよりかは、
考え方に惹かれます。
とっても大好きなもののひとつです。
淳一さんのクリエイションって。

イ)本当につくづく不思議なんですけど、
こういう人のセンスって、
どんなふうにして、養われるのか。
わからないですね。そればっかりは。

イ)丸山さんは、
一般的に、センスみたいなものって、
どう養われると思いますか。
たぶん、「センスのよしあし」って、
あるていどは、
持って生まれたものじゃないかとは、
思うんです。
ただ、それが「どう磨かれるか」‥‥
どんなふうに力を発揮していくかは、
どれだけたくさんの経験をしてきたか、
どれだけたくさんのモノを見てきたか、
そこに関係してくると思います。
イ)なるほど。

ぼくも、
淳一さんの創造物を見てきたからこそ、
そのぶん、
ものづくりに挑む際の選択肢を
広げられているんだなあと思いますね。
イ)選択肢。

たとえばレイアウトを切るときでも、
「中原淳一のような方法」が
自然と選択肢に加わってきますよね。
イ)なるほど、中原淳一さんのやり方を、
たくさん目にしていたら。
そうそう、淳一さんみたいに、
頭をスパッと切ってみようかなとか。
今の若い人たちを見ていて
少しもったいないなあって思うのは、
そういう「出会い」が
ぼくらのときより少なそうなところ。
イ)ああ、「情報」は多いけれども。

うん。情報と出会いはちがうからね。
情報だけでは、
本当には「出会えない」と思います。
イ)どうちがいますか。

今のこのインターネットの世界って、
すばらしく便利で、
うまく使いこなすことができたら、
ぐんぐん
世界が広がっていくと思うんだけど。
イ)ええ。
広げる意識や意志もなく、
ただ単に情報に接しているだけでは、
広がらないんです、結局。
アナログな世界に生きてたぼくらは、
どう言っていいかわかんないけど、
おじいちゃんと一緒に
落語を見なきゃならない時間とかも、
あったりとかしたじゃない。
イ)日曜日の夕方とかに(笑)。
若くて、よくわかってないころは、
じじいと落語なんか退屈だって
思ってたんだけど、
でも‥‥イヤイヤ観ていると、
「ハッ!」て持ってかれる瞬間が、
あったりするんですよ。
イ)退屈だと思っていた、落語に。

あるいは、休日の昼下がりに
母親が見ていた
おもしろくもないメロドラマの間、
そこへ不意に飛び込んできた
資生堂のコマーシャルに、
めちゃくちゃ衝撃を受けたりとか。

イ)なるほど。

資生堂のCMなんて
名前を聞くだけで綺羅星のような
超一流のアーティストが
つくってるわけで、
やっぱり、素晴らしいわけですよ。
そういう「思いがけない洗礼」を、
ぼくたちは、
いつの間にか受けることができた。
イ)そうですね。わかります。

別に積極的にテレビを見ようって
言ってるわけじゃないけど、
オンデマンド配信のように、
セレクトした番組を見るだけだと、
そういう出会いがないんです。

イ)交通事故のような、出会いが。

そうです。そうです。
今の子たちは、
見るまえに「選ぶ」必要があって、
それって、
結局、自分の趣味嗜好の範囲から
はみ出していかないし、
ちょっともったいないなあと思う。
イ)ぜんぜん知らない世界だったけど
足を踏み入れてみたら、
めちゃくちゃおもしろかったこと、
ありますもんね。
たしかにグーグルマップを使えば
道には迷わないけど、
さんざん迷った先で
「え、こんな場所に、
こんな素敵なバラのお庭があったの?」
みたいな不意の出来事に
出会うことだってあるじゃない。

イ)ロマンチック(笑)。

でも、そういうものじゃない?
自分を動かすような、出会いって。
イ)つまり、丸山さんにとっては、
そのひとつが、
小学校のころに図書館で出会った
「中原淳一」だった。
そうですね。そう思います。

昔の資生堂のCMは、本当におしゃれでした。

落語とメロドラマの引用がおもしろいですね。

昭和の時代は、スマホもパソコンもなかったけれど
その不便さが逆に「ロマンティック」を生んでいたのかもしれません。
(若かりし頃、デートの待ち合わせで会えなかったことを
思い出した、、、。)

無駄や効率ばかり考えていると、予期しない偶然に出会える
確立は、確かに少ないのかも?
時間の無駄を考えるより、経験・行動を重ねましょ。
(私も、‘無駄’な経験いっぱいしてきちゃいました♪)



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