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Record.48 霊界大戦 vol.11 ●死に際の青春 

●死に際の青春

私は野沢さんと中川さんのヒーリング、ほぼ毎日遠隔で私の親しい人達へパトロール&ヒーリングをしていた。

そして私自身も呪詛からの激しい猛攻撃を受け続けていた。

生命エネルギーがまた無くなり始めた。

それでも仕事もしないといけない。

人の施術ができる状態ではないけど休む訳にはいかない。

とにかく振り搾って生きていた。

『死』をリアルに感じた日があった。

私は施術しながら、その日は遠隔パトロールをし、ノーザンのメンバーに攻撃されている人がいたのに気付いて光を送った。


その時、呪詛からの強烈なエネルギーで私のオーラはゼロになっていた。

オーラゼロって、たぶん普通は死ぬ間際までは体験しないであろう状態。

しかも私は自分の肌の一ミリ外が、全部呪詛のエネルギー。

私を殺すための殺意のエネルギー。禍々しい真っ黒の色のペンキで塗り潰されたような私のオーラ。

プラスのエネルギーが一切存在しなくなった蜂の巣状態だった。

自分のオーラがゼロになって初めて、普段人間は自分のオーラに包まれて生きれてるんだと実感した。

生命エネルギーが背中から抜けきっていた。

(ああ、お客さんごめんよ。ごめんよ。)

お客さんを気の毒に思いながら、ふと、

私の周りに一匹の蛾が飛んでいるのに気付いた。

直感ですぐ呪術者が蟲を使って監視しているとわかった。

私が死ぬのを待っているように、私の近くを何周もしながら飛んでいる。

ちくしょう。

このまま死ぬのかな。

やり残した事……あるかなあ。

リアルに死を意識して、一つ見えて来たものがあった。

胸の奥の奥の奥に閉まっていたキモチ……。

それは、ノーザンパイクのジローさんへの想いだった。

ジローさんとの出逢い


音楽人として大ファンでもあるけど、魂の縁が濃いジローさんにはどうしても違う気持ちで惹かれてしまう自分がいた。

一切話さなくても何か、どうしても『繋がり』を感じてしまう。

龍子ばあちゃんに、

『波動がピッタリと合っているね。魂のむすびつきがある』



そう言われた事もあった。

詳しい意味はイマイチ分からんかったけど、それを魂は感じているなとは思った。

ジローさんの魂も何かを感じているのかな……と思った出来事もあった。

アポなしで飛び込み、ライブに顔を出した日。

いつもチケットを取り置きしてくれるリョークさんが、私の顔を見るなり硬直した。

『え?今日、メールくれてました?』

『いや、予約してないんですけど時間空いたんで来ちゃいました!』

そう言うと、笑顔もなく呆然とリョークさんは去って行ったので、私は来たらマズかったのかなと焦り、帰りにリョークさんに謝りに行った。

『今日は突然来ちゃって、驚かせてすんません』

ライブハウスの入り口で、小さな軽自動車に沢山の楽器を魔法のように綺麗に運び込むリョークさんに話しかけた。

『いや~!全然全然、違うんですよ………あの………言って良いのかな………実は、リーダー(ジローさん)がね、「今日実さん来ないの?」って言ってたから「今日は来ないよ」って言ったんだけど、「今日来る気がする」って言ってたんですよ。本当に来たからビックリしちゃって……』

それを聞いて私もビックリした。

『お~そうだったんですか…。え~~、さすがリーダー』

本当にその日は用事があるからライブに行くつもりはなかったけど、急に行きたくなって突然行ったから不思議だった。

ジローさんが私を認識してる事すら不思議に思えるほど、私はほとんどジローさんと話した事がない。

それなのに、お互いのアンテナをキャッチしたりされたりする事が時々あった。

ドリームマスター特有の現象みたいな感じかなって、あまり深く考えないようにしていた。

少しずつ降り積もった感情を、私はずっと認めなかった。

恋愛感情では及びもつかないほど、ノーザンというバンドと音楽が好きだったからだ。

それはヨーロッパ楽団という前世から来ている魂的な郷愁や宇宙をバンド全体から感じていて、

長年違和感しか感じずに居心地悪くこの世界で生きてきた私にとっては、ノーザンの音楽が魂の故郷のように感じていた。

それを失うのは絶対嫌だった。

現実的にもジローさんは長い付き合いの彼女もいるし、色々な壁が大きすぎて、ジローさんに向かっていく勇気もエネルギーもなかった。

5年、ジローさんへの恋愛感情を地底まで沈め込んでいた。

でもこの想いと向き合う事が、魂的には本当は避けては通れない一つの『課題』であるのを、ずっとどこかで感じていた。

時々魂は、挑戦しろ!と言って来た。

それを臆病な私は全力で無視してきた。

それが、死に際に浮上して来たのだった。

死ぬなら最後に………………

と、思った。

いや、話すらまだまともにできない事が多いのに、告白なんてハードル高過ぎる………

と、思いつつ、ジローさんに告白する妄想をし始めた。

死にかけてるのにニヤニヤし始めるワタシ。

しばらくニヤニヤしていると、右側の耳元辺りが急にバツン!!と何かが弾けるような感覚がした。


ん?!


それは、一瞬だった。

ほんの一瞬だけ、私の呪詛まみれの真っ黒オーラの中に『味方』のエネルギーが入って来た気がした。

でも、一瞬だったので、私のオーラは真っ黒のまま。

気のせいか…………と、気を取り直してまたジローさんに告白する妄想をし始め、ニヤニヤを再開。

すると、またオーラが激しくバツン!!と音を立てた。


んんん?!!!Σ(・_・;)



今度は一瞬じゃない。



バツン!!バツン!!バツン!!



まるで私の黒いオーラを誰かが蹴り破ろうとしてるような感覚だ。


バツン!!!!



そしてついに、私の右側に誰かがドーン!!と現れた。

黒いオーラに雪崩のように流れ込む光。

自分の外に久しぶりに感じる温かなエネルギー。

みるみる私は精気を取り戻していく。

………………ナニコレ((;・ω・)


み、味方が来た。

うわああああ、あの子供の使い神様みたい。

でも、今度は霊体だ。

誰?守護霊?神様?宇宙人?

と、右側にいる人に意識を合わせてみた。

すると、感じ覚えのあるエネルギー………。

まさか、まさか、まさか、まさか、まさかの…………


ジローさんだった。



う、嘘だろう???


いや………まさかね…(´Д`;)

さっきまで妄想してたから、ジローさんだと思いたいだけかもしれん…。

そう思った。


でも、とにかく私は『生き返った』!!

これが本当の『生き返った』だ。


ふと床を見ると、さっきまで元気に私の周りを飛んでいた蛾が、嘘みたいに急に死んでいた。

やっぱり呪詛の蟲だったと確信した。

右側に来てくれた人が私にかかった呪詛を突破してくれたからだ。


施術を終えると、私は受付にいた中川さんの前に立った。

『ねぇねぇ。これ、誰だか分かる?』

右側を指差して、そう聞いてみた。

中川さんは一緒にノーザンのライブに行った事があるのでジローさんを知っている。

すると、しばらく黙った中川さんは、

『いや……分かりません…』

と言った。

なんだ、そっか、やっぱり気のせいなのかな。

誰だろなあ…………、と思った。

休憩中、中川さんが話しかけてきた。

『実さん、私さっきウソついちゃった。その、右側の人。誰だか分かりますよ………』

『え、そうなん?』

『ジローさんでしょ?』

(゜ロ゜)

私は驚いた。

『…………や、やっぱり?』

『うん。すぐわかった。だってぇ、ヤキモチ妬いちゃいますよ~~~~だから嘘ついた!ごめんなさい』

ライブを一緒に見に行った時に、妖気漂う人間離れしたジローさんの魅力に実は中川さんもズッキュンこしていたのだ(笑)

ヤキモチ妬いちゃうのか…そっかあ…さっきまで告白妄想なんてしていた事は黙っていよう……と思った。

急にさっきの妄想が超絶恥ずかしくなった。

でも、なんで来たんだろう?


















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