見出し画像

詩)伊東温泉の銭湯 小川布袋の湯 最高の人生とは

それは某有名リゾートホテルから徒歩五分のところにある銭湯 小川布袋の湯

まだ陽も明るい午後二時過ぎ
どっこいしょと地元の人たちがやってくる
地元民に混じって この時間に風呂に入れる 
少し歩き疲れた足 もう足が銭湯を求めている
1人250円なり。

タオルはなくても大丈夫だよ
ここにあるよと
すらっとした初老の白髪の爺さんが教えてくれた。齢75くらいだろうか 
タオルをありがたくお借りして 入る

浴槽に入る前にケツをよく洗え 張り紙あり。了解しました。

白髪の爺さんは、浴槽には入らず、石鹸で髪を洗う それがなんとも言えずかっこいいのだ
様になっているのだ
シャカシャカと音が聞こえる
まるでお釈迦様が身体を清めているような

寒いね と言って銭湯の窓を閉めた 上の窓は壊れてるから開かないんだ その仕草が自然なのだ ちょっとしたことなんだが
人生の達人なのだ
浴槽は5人も入れば満杯だ。
浴槽は深い。
少し熱めの湯 足に沁みる じんじんする 気持ちいい じんじんが続く
もうやみつきになりそうだ

達人は身体を流し 湯にほんの少し浸かる。
さっと出ていかれた

これから ひとりになりますから 浴槽で溺れないように そう言い残して。 

なんてあたりまえの 素敵な人生
一瞬で惚れてしまった
とりあえずある この日常の風景 


こんなふうに
ゆっくり
静かに
生き 

死ねたら



この記事が参加している募集

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します