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病院にいる
検査デアル
なんだか病院にいると
病人になった気分になる
いやぼくは
病人ではなく検査に来ただけだと少し長く分かりにくい言い訳をしたいと思うが
ここでぼくは受付を通り
順番通りの番号になり
呼ばれたらその通り動き
終わったら会計し
この病院を出ていく存在でしかない 

みんな同じ顔で
同じような雰囲気を纏い
腕を組み
何やら結果らしき紙を見
誰かと誰かが何かをひっそりと話し
手持ち無沙汰で順番が来るのを待つ
その中のひとりであるのだ ぼくは

なにかを想い
なにかを食べて
なにかになろうとし
なにかで稼ぎ 
なにかで疲れて
なにかで ちきしょうとおもい
やっぱりここで なにかを想い

さて ドンキホーテのホラ吹き男爵なら
やーや我こそはなどと 
槍を振り回して 見えない風車に向かって
立ち向かっていくだろう
ぼくは受付で呼ばれ
さてとドンキホーテよろしく
よっこらしょと立ち上がり
見えない槍を持った気持ちで
看護師の後ろ姿に勢いよく周る風車の幻を見ながら 検査室に入るのである

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