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詩)結婚記念日の誤送信


子どもが欲しいとずっと頑張っていた彼女は50代になって もう不妊治療は辞めたのだが 仕事の連絡は相変わらずで こちらがちょっとタジタジとなるような勢いで電話してくる 
非正規でずっと仕事につき 正規職との賃金格差は月給制と時給で違うし もしもコロナになれば補償が全くないとか そんなことがあるのに 仕事での実力はピカイチだし 正社員はそれに比べてなんだか霞むのだ

旦那さんは全く知らないが ずっと前に彼女が間違ってラインを送って来たことがある 帰りに白菜とシラタケ買って来て それを仕事のラインに送ってきたのでみんなに冷やかされた 真っ赤になって だってね今日は結婚記念日で すき焼きにしたかったのと話して

子どもが出来ないことは職場のみんなが知っていたけれど 不妊治療で有給を取っていたこともみんな知っていたけれど 明るい彼女に何か言うのはとても難しかった その話題では 無神経な僕でも

神様はなんて意地悪なんだろうと 思ったりしたが 彼女は特になにも言わずそのまま明るくそのままガッチリ系で 仕事が出来る非正規職だ 


2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します