見出し画像

朝陽を浴びた駅舎
朝7時11分発 北茅ヶ崎発 相模線
日差しが斜めに差し込む車内
部活の高校生がユニホーム姿でかたまり
ピンクのマフラーを巻いた冬支度のセーラー服
しっかり腕を組み目を瞑る労働者
女性がなにを見るでなく顔をあげて外を見ている

宮山を過ぎたあたり
左の窓は雪を被った富士山が綺麗に見える
相武台下から左の車窓は丹沢の山並み
竜の骨のように張り付いて
稲刈が終わった田は青い
四人の女子学生が真剣に話している
その輪が少し眩しい

それぞれの時間はそれぞれの違う円を描く
単線の相模線のように
生きることは真っ直ぐじゃない
都会の偉大なローカル線は
ゴトゴトと不思議な存在感で少し振り向かせる
それぞれの生き方がそこにある
そこに自分がいて
ゴトゴト運ばれている

そんなふうに 振り向いて
あゝそうだなあと
若い時があり
出会いがあり
少し苦い想いがあり
やがて線路は終点に向かう
あゝそうなんだなあと思う。

100年目の鉄路 相模線。

大正10年(1921)9月、相模鉄道株式会社が茅ヶ崎-寒川間の旅客営業を開始してからちょうど100年

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します