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映画「テルマ&ルイーズ」時代を先取りしたロードムービー(ネタバレあり)

 映画館で 「テルマ&ルイーズ」の4K版を見てきた。以前家で観たことがあったのでストーリーは知っていた。1991年公開のアメリカ映画。
 仲の良い友達同士のテルマとルイーズ。テルマは夫に束縛されている専業主婦で、夫に言いたいことも言えず、逆らえない。ルイーズは独身のしっかり者のウェイトレスで、彼氏がいる。テルマが男にレイプされそうになったことから、ルイーズが男を撃ち殺し、二人は逃亡することになる。

・性加害・性被害の話。30年以上前に「性被害に対する女性の怒り」を取り上げていることが時代を先取りしていると感じる。

・一般的に、実際の世の中でもフィクションでも、「友情」(性的ではないつながり)よりも「恋愛・性愛」の方が上位に置かれることが多いと思う。テルマもルイーズも性的な対象は男性だが、この映画では「友情」の方が重要視されて上位に置かれていると感じる。昔、漫画の「NANA」を読んだときも同じようなことを感じた。

・テルマが男好きなせいで度々致命的なピンチに陥るので、しっかりせえよと思った。

・テルマが強盗をしている映像を、警察で夫が見るシーンが面白かった。

・二人に下品なからかいをして付き纏った運転手のタンクローリーに発砲して爆発させるシーンの破壊力がすごい。爽快。

・テルマは映画の前半では、精一杯お洒落や化粧をして、すごくフェミニンな格好をしている。ストーリーが進むにつれて、すっぴんに近くなり、ラフな格好になって、表情も吹っ切れたような力強いものに変わっていく。

・それと同時にテルマのキャラクターや行動も変わっていく。夫に何も言えなかったテルマが、自分を虐げた男たちへの怒りを顕にするようになる。自分をレイプしようとして殺された男を嘲笑い、強盗を行い、タンクローリーを爆破する。

・登場人物はアメリカのアーカンソー州で暮らしている。アーカンソー州はアメリカの中でも貧しい州のひとつで、保守的な州らしい。テルマとルイーズはインテリでもない、田舎のごく普通の女性たちのようだ。そんなごく普通の女性が旅を通じて変わっていく。

・アメリカの田舎町、ルイーズの働くダイナー、モーテル、二人が乗るサンダーバード、グランドキャニオン。めちゃくちゃアメリカっぽい。

・Thelma and Louiseというタイトルは、Bonnie and Clyde(邦題「俺たちに明日はない」)にならってつけたのだろうか。

・最後に二人はグランドキャニオンの崖から車でダイブする。映画としては派手で爽快なシーンで良いのだろうけど、この旅を通じて生まれ変わったのだから、生きて、今までと違う生き方をしていって欲しかったとも思う。

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