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7インチ盤専門店雑記434「The Myddle Class」

キャロル・キングがソロ・アルバムをリリースする直前、短期間だけ存在したThe Cityと言うバンドのアルバム「夢語り」という幻盤があります。販社変更のゴタゴタで廃盤になってしまい、超絶レアというわけですが、如何せん大好きなアルバムです。2015年リリースの再発アナログ盤を所有しておりましたが、近い将来旅立つようです。…常連さんのお一人から打診がありましてね。

このアルバム、A面B面ともに6曲ずつ、計12曲が収録されておりますが、最近売られているCDが14曲入りでして、おかしいなと調べてみたら、何とThe Myddle Classの音源が2曲、ボーナストラックとして追加されております。The Myddle ClassはThe Cityのベーシスト、チャールズ・ラーキーやスティーリー・ダンの初期メンバーだったデヴィッド・パーマーが所属していたバンドで、1965年から69年頃に4枚のシングルをリリースしてから解散したということです。

The Cityに関しては、先月キャロル・キングのクリスマス・アルバム「A Holiday Carole」について書いた自分の文章がありまして、そこでも少し触れましたが、その後いろいろ分かってきたこともあり、正月休みも様々な情報にあたることになってしまいました。

結果としてThe Myddle Classというバンドについても調べることになったわけですが、英語版Wikipediaが詳しく、ヒストリーに関しては必要十分な情報がそこにあると思われます。

ところがDiscographyがいけません。自分の手元にあるコンピレーション盤に収録されている「Lovin' Season」という曲も出てきません。…そうするといろいろ調べたくもなるではないですか。

ここ(Wikipedia)では1965年から69年頃に4枚のシングルをリリースしたことになっております。この4枚のシングルのうち3枚「Free As The Wind c/w Gates Of Eden」「Don't Let Me Sleep Too Long c/w I Happen To Love You」「Don't Look Back c/w Wind Chime Laughter」はキャロル・キングとジェリー・ゴフィンがオーナーであるTomorrow Recordsからリリースされており、残る1枚はBuddah からです。

69年にBuddahからリリースされたのはA面もB面も2枚目と同じタイトルの曲なので、移籍にともないプレスし直しただけですかね。クーチがギター・パートを録り直したような記述もあり、実は正確なところが分かりません。そうならそうと書いておいて欲しいですね。世界最大の音楽データベースDiscogsの記述では、結局6曲しか存在しないようなことになっております。

ちなみにファースト・シングルはニュー・ヨークのローカルでは人気になったようで、65年12月のイベントではヘッドライナーを務めたということですが、そのときのオープニングはヴェルヴェット・アンダーグラウンドだったとか。面白いですね。どうやら、このときがヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファースト・ライヴだったようです。

さて、先述のコンピ盤「Psychotic Reactions」は ↓ こんな盤です。まあ、The Cityのボーナス・トラックに入れるような連中がガレージ・パンクだと言われてもねぇ…。いろいろ検索してみてこの盤の存在に気がつきましたけど、まあビックリですね。こんなところでお会いするとは…。しかもこの盤、ピンクのカラー・ヴァイナルとか紹介されているんですけど、色が判らない私でも、「コレはピンクではない」と分かりますぜ…。

60年代ガレージパンク/サイケのコンピレーション「Psychotic Reactions」(1991)
The Myddle ClassはWikipediaに載っているものと同じ写真つきで紹介されております

そんなわけで、この辺りの事情はまだまだ分からないことだらけです。The Cityの「夢語り」のボナトラも随分中途半端という気もしないではないですが、やはり猛烈なコレクターやマニアックなファンがいらっしゃるあたりの音源ですから、レコード会社も頑張ってマスターテープ等を探しているんですかね?何とか見つけたものを幻盤のボーナストラックに入れますか…。キャロル・キングはTomorrowからリリースされた曲のマスターを保管していないんですかね?

実はThe Myddle Classからチャールズ・ラーキーが抜け、クーチとキャロル・キングと3人でThe Cityを立ち上げた頃、ヴォーカルのデヴィッド・パーマーとギターのリック・フィルプたちはボストンに移り、新たなバンドとしてレコーディングも開始しますが、そのタイミングでリック・フィルプが元ルームメイトに殺害されるという事件が起きてしまうんですね。そこでバンドは解散してしまったようです。元は高校の同級生バンドなので、コレはキツイですね。

さて、「Psychotic Reactions」に入っている「Lovin' Season」という曲に関しては謎のままです。アルバム・ジャケットの解説によると、1966年に録音されてレーベル・サンプラーに収録された音源ということです。ではWikipediaには載ってきませんかねぇ?それなら、この盤に収録されていることだけでも書いておくべきですよね。

さらに、Wikiの解説によると、どうやら他にも音源はあるようです。モンキーズに提供されたキャロル・キングの曲「プレザント・ヴァレー・サンデー Pleasant Valley Sunday」のデモもこの連中が演奏したようですが、世に出ていないということになっております。手元にある2012年リリースの「The Legendary Demos」というCDに同曲が入っておりまして、演奏者のクレジットはありませんが…おそらくこれですね。記述が古いんですかね?キャロル・キングのヴォーカルの「プレザント・ヴァレー・サンデー」、結構好きです。

The Myddle Classというバンドに関しては、あまり考えたくない過去、触れられたくない過去なのかもしれませんが、整理してくれませんかね。ただ有り難いことに、YouTubeで全部聴けるんですよね。…何だかなぁ 。

あ、ところで、The Cityの「夢語り」再発アナログ盤、いくらでお譲りしますかね?オークション相場は1万円超みたいですけど…。本当にお買い上げですかね…?


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