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7インチ盤専門店雑記632「ハンプトン・ホーズはお好き?3」

リーダー作以外では、何と言ってもソニー・ロリンズ「コンテンポラリー・リーダーズ」でハンプトン・ホーズがピアノを弾いています。どうもこのアルバム、あまりちゃんと聴いていないかも知れません。どうしてもドナルド・フェイゲンの「The Nightfly」がらみという意識が強すぎていけません。…以前にも書きましたね。

今回、一連のハンプトン・ホーズの音源と一緒に聴いてみましたが、やはり随分違った印象を持ちました。そもそも楽器の数も多い音源なんです。ロリンズのテナー、ハンプトン・ホーズのピアノ、バーニー・ケッセルのギター、リロイ・ヴィネガーのベース、シェリー・マンのドラムス、そして一曲だけヴィクター・フェルドマンがVibraharpなるものを演奏しています。

ピアノトリオ中心のハンプトン・ホーズのリーダー作と聴き比べるものではありませんでした。とにかくサイドメンとして他人様のバックアップをするときに違った魅力を見せるアーティストもおりますから、その辺が気になっていたんですけどね。印象としては、端正な演奏をする人ばかりで、ソニー・ロリンズはやり易かったかもといった程度です。

ジャズメンの個々の性格によるのかもしれませんが、リーダー作で実力を発揮する人とサイドメンとして輝く人っているように思います。そういう目線でハンプトン・ホーズを見た時、この人はひょっとしてサイドメンに向いているのかもという気もするんです。やたらと上手いのでリーダー作ばかり取り上げられるようですが、案外歌伴やサックスのバックについたときのタイム感のよさといったらサイコーです。煽るというか、終盤に向かって盛り上げていく弾き方をするときは、妙に輝いているようにも思えます。歌伴に関しては、ビル・エヴァンスの数少ない録音よりはいいものを残しているように思えます。

スペインのフレッシュ・サウンドからのリリースに関して、昨日も触れましたが、もう一枚ありました。「Hampton Hawes Plays Movie Musicals」です。ベースがBob West、ドラムスがLarry Bunkerの時のトリオにストリングスをつけたものです。もの凄く短いアルバムでして、ミニ・アルバム的な印象ですが、「Where Is Love」「My Man」「Old Devil Moon」といった小品が耳触りよいです。

ビル・エヴァンスのせいで、ピアニストはピアノトリオで聴くもの的な先入観が植え付けられておりましたが、そうでもないのかもと思い直しております。そう思わせるハンプトン・ホーズは間違いなく上手いですし、アンサンブル的な部分を聴くことで楽しめる人でもあることは確かです。やはり有名盤の方が評価が高いのかもしれませんが、フレッシュ・サウンドあたりの音源を掘っているのも、このピアニストには向いている作業かもしれません。クオリティの高い演奏を意外なほど多く残してくれておりますから、工夫すればもっともっと楽しめるアーティストだなという思いが強まりました。急逝が惜しまれますね。

ジャズはアナログレコードで集中して聴く方がいいのかもしれません。普段はデータで流し聴きなのですが、やはり勿体ない気がしております。

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