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7インチ盤専門店雑記465「コンテンポラリー・リーダーズ」

ソニー・ロリンズの1958年リリースのアルバム「ソニー・ロリンズ・アンド・ザ・コンテンポラリー・リーダーズ」です。この盤とドナルド・フェイゲンの「ザ・ナイトフライ」の音楽的な関係を探ってみるかと思い、聴き比べのようなことをしております。

置いてありますよね…、わざとらしく。ラジオのDJとかやっていたら絶対に置かないような場所ですけど…。これもある種のオマージュなんですかね。

名盤「The Nightfly」からのシングルといえば「I.G.Y.」、International Geophysical Year、1957年から58年にかけて実施された国際的な科学研究プロジェクトなんですと。だから1958年にリリースされたアルバムから適当に選んだんですかねぇ…。でも、好きでなければこんなところに採用しませんよね…。音楽的な直接の関係がないにしても、何らかの思い入れがあるのではと思います。

コンテンポラリー・リーダーズのピアニストはハンプトン・ホーズ、在日経験もある、日本では人気がある人ですね。演奏が丁寧というと語弊がありそうな気もしますが、日本人の琴線に触れるのはそんなプレイなのでしょうか。とにかく破綻のないプレイで、安心して聴いていられます。ドラッグで逮捕され、ケネディの恩赦を受けて…などいろいろ逸話のある人ですが、天才的なピアニストの一人だとは思います。

コンテンポラリーはL.A.のレーベルで、ウエストコースト・ジャズの名盤が多く作られましたが、ハンプトン・ホーズ・トリオなども含め、「一晩でアルバム3枚分の録音をした」といった記述が散見されるので、調子のいい日の奇跡的な瞬間を捉えたような盤があります。アート・ペッパーとかも「いいときはいい」といった印象があります。ソニー・ロリンズの「コンテンポラリー・リーダーズ」もその一つでしょうか。

ドナルド・フェイゲンって作り込むタイプですよね。思うに、両極的に自分とは違う作り方のアルバムに憧れるようなところがあるのではないでしょうか。時代的に「ザ・ナイトフライ」がリリースされた1980年、周囲には荒削りながらも魅力的なアルバムが多かったように思います。その辺ですかねぇ…。だってあまりにも違うタイプのアルバムなんですよね。作り込む人が一発録りの瞬間的な魅力に憧れるとしたら、無い物ねだりのような、ちょいと面白いものを感じてしまいますし、贅沢とも思えます。

ドナルド・フェイゲンの「The Nightfly」はいくらディグしてもし尽くせない面白いアルバムです。何せ新奇性のようなものは皆無ですから、安心して聴いていられます。そこも狙ってのものでしょうけどね。よくできたアルバムです。



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