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7インチ盤専門店雑記341「B面の愉悦5:グランド・ファンク・レイルロード「パラノイド」」

グランド・ファンクの「孤独の叫び Inside Looking Out」はアニマルズのカヴァーですが、元々はアラン・ロマックスがフィールドワーク的に収集してきた囚人のチャントがベースの曲ですね。グランド・ファンク・ヴァージョンは、赤盤と言われる1969年のセカンド・アルバム収録曲でして、9分半ありますが、そのままシングル・カットしてしまいました。当然ながら33 1/3回転です。

この異例のシングルのB面が「パラノイド」でして、ギタリストのマーク・ファーナーの書いた曲です。グランド・ファンクはカヴァー曲が比較的に多いので、ブラック・サバスのアレかと思われるかもしれませんが同名異曲です。まあそもそもサバスよりこっちの方が古いですね。昔は常識的に知られていたことのように思われるのですが、50年ほどの年月が経ちますと、常識でもなくなるようで、最近は「アレではありませんよ」と言わなければいけなくなってしまいました。まあ、そもそも忘れられてしまった曲かもしれませんね。でも好きでしてね…。

グランド・ファンクの「パラノイド」はやはり7分50秒もある長尺曲です。この曲、長くなかったらB面に入れてもらえなかったかもしれませんよね。まあ世の中にはA面とB面の回転数が違う盤は意外に存在するものですが、このシングル、このカップリングでよかったと思わせるほど、妙に座りがいいんです。不思議なほど、毎度「孤独の叫び」に続けて「パラノイド」も聴きたくなるんです。アルバムですと、B面の2曲目が「パラノイド」、3曲目が「孤独の叫び」なんですけど、この曲順は少々違和感がありまして、やはり「孤独の叫び」を先に聴きたくなるんです。まあ、恐らく7インチ盤好きが7インチ盤で聴き過ぎただけなんでしょうけど。

ホント、どうでもいいことなんですけど、繰り返し聴いた回数が多いと、違ったときに覚える違和感が増えるもので、CDなんかも結構違和感を覚える代物が多かったりします。…曲順が違うCDも意外にありますから。まあボーナス・トラックは嬉しいときと嬉しくないときがありまして、やはり違和感の元凶だったりもします。…配信の世の中では、どうでもいいことですね。

グランド・ファンクの「パラノイド」はイントロ前の警報のサイレンから聴きたいものです。そして長い長いイントロ、ファズ・ギターとノイジーかつ唸るようなベースで隙間を埋めつつ始まって行く様がいいんです。スリー・ピース、3人組ですから正しい有様かと思います。さほど難しいことはやっておりませんし、加えて歌詞が非常に聴きとり易くて、子どもの頃は聴き取れることが嬉しかったです。ちなみに終わったあとの赤ちゃんの泣き声は要らない気がします。

ライナーノーツによると、この曲は自分たちも出演した映画「Weekend Rebellion」の主題歌に使われたということですが、ウェブ上にはそういった情報はほとんど見当たりません。如何せんグランド・ファンク・レイルロードのWikipediaのページは情報量が少ないので、掘り甲斐のある連中です。


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