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7インチ盤専門店雑記637「エルトン・ジョンのヒット曲3」

1970年代前半のエルトン・ジョンはヒット連発ですが、全部が全部売れたわけでもありません。中には売れてないシングルもありまして、7インチ盤専門店としては幻盤も有り難いわけです。どんなアーティストにもコレクター的なファンがいたりするものですが、エルトン・ジョン・コレクターは特別珍しいわけでもありません。ウチのお店にも結構いらっしゃいます。アイテム数が多いので、シングル盤を集めるのは楽しいアーティストでしょう。

そして、混乱の世界へようこそ、といった気分です。如何せん初期のエルトン・ジョンは謎だらけです。1960年代中盤から活動しておりますが、なかなか自身のレコード・リリースにこぎ着けるまで時間がかかります。60年代にはアルバム未収録のシングルが3枚あります。1968年の「I've Been Loving You」、1969年の「Lady Samantha」「It's Me That You Need」です。特にデビューから2枚がレアでして、これは幻盤でしょう。10万円レベルだと思います。もちろん見たこともありません。

3枚目のシングルもオリジナル・リリースはウルトラ・レアでしょうが、日本では71年に東芝EMIになってから再発してくれました。どういうわけか、英国ではヒットしなかったのに日本でだけヒットしたことになっております。従って中古盤店ではよく見かけます。邦題は「イエス・イッツ・ミー」です。

1969年のデビュー・アルバム「Empty Sky」からは「イエス・イッツ・ミー」以外にシングル・カットなし、…どころか、アメリカではアルバムが発売されません。1975年になって発売されますが、その時は結構売れております。

1970年4月にはセカンド・アルバム「Elton John」がリリースされます。ファースト・シングルは「人生の壁 Border Song」、ビルボードでは92位まで行きます。2ヵ月後に出た次のシングルは、アルバム未収録曲です。セカンド・アルバムからのシングル・リリースを一旦は諦めたのでしょうか。

続けて、「The Games」という映画のサントラから「From Denver To L.A.」という曲をシングル・カットします。…売れません。70年10月にはサード・アルバム「Tumbleweed Connection」をリリースします。ここからのファースト・シングル「Country Comfort」もリリースされますが、…売れません。ところが、そんな頃にセカンド・アルバム収録曲「僕の歌は君の歌 Your Song」が評判になり始め、ロングラン・ヒットとなってしまいます。…皮肉なものですね。

さて、問題はここからで、1971年3月に「Friends」という映画が封切られ、ヒットします。「フレンズ~ポールとミシェル」ですね。14歳と15歳のカップルの妊娠・出産、生活苦などを描いた作品で、話題になりました。この映画のサントラからのシングル・カットが「フレンズ」です。英国では売れませんが米国ではビルボードで34位まで行きます。

1971年11月には4thアルバム「Madman Across The Water」がリリースされます。個人的には3rdも4thも名盤です。地味ですけど、大好きなアルバムです。でも、それほど売れたわけではありません。この後大ヒット連発になっていくのを知っている今だからこそ言えることですが、いいアルバムなんですけどね。「マッドマン~」からのシングル・カットは「Levon」、24位まで行きます。エルトン・ジョンのファンからは愛されている曲ということですが、7インチ・シングルはかなりレアです。

年明けにセカンド・シングル「可愛いダンサー Tiny Dancer」もリリースされますが、41位どまり。中ヒットといった程度でしょうか。そう、問題はここなんです。実はエルトン・ジョンに関しては、アルバム志向が強いということも言えるんです。…シングルがあれだけヒットしているのに?と思われるかも知れませんが、「僕の歌は君の歌」ですら玉数が豊富とは言えない状況なんです。「僕の歌は君の歌」と「ロケット・マン」という大ヒットに挟まれたこの3曲のシングル、結果的に相当レアなんです。…でもそんなにお高い値札を付けても売れませんよね。アルバムで聴けばいいわけで、あまりシングルで売ろうとしていないように思えてしまうんです。

アイテムが多すぎてエンドレスになりそうですですね。時期を刻んで、時々書き進めることにしましょうかねぇ…。

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