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7インチ盤専門店雑記435「Mississippi Juke Joint Blues again」

何度か触れている「ミシシッピー・ジューク・ジョイント・ブルース」ですが、相変わらず手元には置いてありまして、時々聴いております。まとまった時間がないと、この盤に関して深掘りする作業はできませんから、老後の楽しみに取ってあるのですが、やはり聴きたくなってしまいます。

昨年の正月も同じようなことを書いておりますし、2020年にブルースのイベントを開催したとき、その準備の段階でかなり聴いたことも思い出しました。これが不思議なほどハマるんです。音質改善というのは、こういう効果もあるのかと俄かに信じられない思いをしております。

1941年9月9日時点で、ミシシッピーのジューク・ジョイントのジューク・ボックスに入っていた曲を集めてあるわけですが、今回はこのうちTommy McClennanというデルタ・ブルースのシンガーでありギタリストでもある男に注目してみました。というのも、ここに収録されているジューク・ジョイント4軒のうち、Messenger's CafeとChicken Shackの2軒のジューク・ボックスにTommy McClennanの盤が入っているんですよ。曲は「Bottle It Up And Go」と「Whiskey Head」となっております。

一方Lucky'sとNew Africaの2軒は、とりあえず手に入ったレコードが入れてあるのかなと思いたくなるラインナップなんです。Messenger's CafeとChicken Shackの2軒は、デルタ・ブルース多めですから、客の傾向もブルース好きだったのであれば、「今、自分が聴いても面白いのはこの2軒かな」という結論に至りましてね。しかも両方に入っていれば、目につきますね。

Wikipediaは日本語ページはなし、英語ページは情報が少ないながらも、1939年から42年にかけて、Bluebird Recordsに録音を残していると書かれております。もうこれだけでも有り難いんです。時代的な整合性はバッチリですね。例えば有名なロバート・ジョンソンをベースに考えると、彼は36年に録音を残し、38年8月に亡くなっております。その少し後ということが分かるだけでもいろいろ納得がいくわけです。少し荒いギターの弾き方や歌い方も、この時代に求められた個性かもしれません。また、コード遷移がスムーズだったんですかね、ビッグ・ビル・ブルーンジーの証言が残っているようです。

ほかにも、Wikiではこの時期に録音されたもので、上記2曲に加え「Shake 'Em On Down」と「New Highway No.51」という曲名が出てきます。…ここらで自分がこのブルースマンに興味を持ったことが間違いではなかったと確信しました。

「Shake 'Em On Down」は以前にサマンサ・フィッシュ姐さんとエリック・ゲイルズの猛烈な掛け合いのライヴ映像を貼り付けてご紹介しておりますし、「New Highway No.51」は、要するにボブ・ディランがデビュー・アルバムでやっているカーティス・ジョーンズの曲「Highway 51」と同じ曲ですね。どちらも好きな辺り、しかも的の中心近くなんです。

さらに「Cross Cut Saw Blues」の作者なんですね。アルバート・キングやエリック・クラプトンあたりがカヴァーしている有名曲ですね。日本では人気のあるブルースマンは限られているようですが、どうしてこの人はマイナーなんでしょう?話題性に乏しいですかね。ブルースをディグしていると、よく思うのですが、情報が偏ってますよね。何でなんですかね?

こういうルーツを辿る旅のような調べ物&音源チェックは楽しくて時間を忘れてしまいます。YouTubeという強い味方が即座に音源も聴かせてくれますしね。まったくもって有り難い世の中です。


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