7インチ盤専門店雑記568「RINGO」
リンゴ・スターの「RINGO」です。1973年リリースの大名盤です。「Photograph」「You're Sixteen」「Oh My My」とヒット曲満載、ジョン・レノンもポール・マッカートニーもジョージ・ハリスンも楽曲提供しているので、ビートルズ・ファンにも人気の一枚です。
とにかくビックリしました。重たいんですよ。手元にあるのは帯なし国内盤ですが、605gあります。…思わずキッチン・スケールで計測してしまいました。このアルバム、2枚組ではありませんからね。参考までに、気になる盤はどのくらいの重さか測ってみたところ、まず重たい印象の代表、2枚組のザ・ビートルズ「1」752g、2枚組でも軽かったなという印象のウェザー・リポートのライヴ盤「8:30」382g、1枚で重たい印象だったイーグルス「Hotel California」421g、軽かった印象のジェフ・ベック「Blow By Blow」281gという結果でした。「RINGO」の605gがいかに重たいかご理解いただけますでしょうか。
このアルバム、ゲートフォールドですし、インナーとかがめちゃくちゃ豪華です。ジャケットより一回り小さい程度の大きさの歌詞カードやフォトブック的なものが2種、オリジナルに加えて日本語訳もありますからね。2枚組でもインナーがないと、ウェザー・リポートのように382gという数字がもの語っていますが、180gが重量盤と呼ばれる世界の話です。600g超えはさすがという数字です。
加えてデザインの世界でも注目されていた70年代前半のリンゴ・スターですから、やはりジャケットの細かい意匠は逐一目を凝らして見るべきものがあります。自分は元々ポップアート好きですから、こういうレコードが楽しくていけません。配信で音楽が手軽に聴けることに物申すつもりはありませんが、やはりジャケット・アートの面白さはLPサイズがベストです。CDでも全然物足りません。このレコードの楽しさは、 ↓ コイツが物語っている…みたいな部分の楽しさはLPサイズでこそです。
前述の通り、大ヒット・シングルが3曲もあるアルバムですが、当然ながら7インチ盤専門店は7インチ推しです。中でもこのデザインですから「You're Sixteen」が一押しですね。
リンゴは1973年のこのアルバムに先立ち、2枚のアルバム未収録シングルをリリースします。「It Don’t Come Easy」と「Back Off Boogaloo」ですね。米国でNo.1になった「Photograph」が英国では8位どまりだったのに対して、「It Don't Come Easy」は4位、「Back Off Boogaloo」は2位という大ヒットになっております(米国では4位と9位)。何でアルバムに収録しなかったんですかね?とにかく、「Back Off Boogaloo」が大好きで、ことある毎に紹介したり店でもしょっちゅうかけている曲なのですが、青いリンゴのアップル・レーベルが面白いです。結局他のビートルズのメンバーと比べると、かける機会が少ないせいか、個人的には「Back Off Boogaloo」ばかりかけていることになってしまったんですけどね。実はアルバム「RINGO」も大好きなんですよ。
本当はデザイン的なはなしを掘り下げたかったのですが、ニルソンとの共同作業だった数枚のLPが今手元になくて、…というか見失っておりまして、そちらの話題が書き難いという事情もありましてね。キッチン・スケールなんぞ持ち出して遊んでおりました。
デザイン系の話題では、T.Rexの「ザ・スライダー」のぼやぼやマーク・ボランの写真を撮ったのもリンゴ・スターでして、正直なはなし、リンゴ・スターは音楽の世界から遠ざかってしまうのかと思っていたのですが、意外や意外、オール・スター・バンドの活動などで、後々まで楽しませてくれましたね。大好きなジョー・ウォルシュの義兄になるわけですが、この辺の事情を語らずとも、大好きなキャラです。
本来なら超豪華な参加メンバーのクレジットを紹介するだけで一本の記事になるというか、もの凄い文字数になってしまうのですが、そういった側面からも彼の愛されキャラは実感できますね。
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