見出し画像

7インチ盤専門店雑記300「Kazumi Watanabe」

300本目というキリのいい数字なので、何か特別なことでも書こうかとも思いましたが、それほど書きたいことがあるわけでなし、雑記は雑記ということで、今現在気になっていることを書くことに徹しようと思います。

先般、ラジオ番組の収録でKYLYNのライヴを持ち込んだときに、ディレクター氏がご存知ないということをおっしゃっていて、忘れられた盤かもと思い、何だか悲しいようなモヤモヤが脳みその片隅に居座ってしまいました。

如何せん、渡辺香津美と坂本龍一の双頭バンドのようなものです。矢野顕子や高橋ユキヒロ、村上秀一といった日本を代表する達者な連中が名を連ねております。名曲「I'll Be There」や、CMでも使われた「E Day Project」といった必聴曲も収録されており、自分の中ではかなり重要な盤です。

1980年前後、ロックでもなく、ジャズでもなく、自分が最も多く聴いていたのは渡辺香津美でした。今でもWatanabe Kazumiとして、主要盤はジャズの棚に洋物と一緒に並べてあります。とにかく大名盤「To Chi Ka」にやられました。名曲「Unicorn」は日立Lo-DのCMソングでもありますが、これは下手なジャズの名盤や洋楽曲よりも魅力的な楽曲・演奏です。

そしてその後の彼の盤はどれも魅力的なものばかりでした。「Talk You All Tight」や「Ganaesia」は、下手なハードロックよりもヘヴィでハードな音のギターが縦横無尽に駆け巡っており、かなり興奮しながら聴いたものでした。そんなわけで、ジャズでは括れない人です。それから「DOGATANA」の美、Ovationのショーケースのような盤でもありますが、もの凄いレベルで「美」というものを提示していると思いました。…ご本人の意向は存じ上げませんから、勝手にそう解釈しておりましたけどね。

そしてMOBO、洋邦の達者連中が参加しておりますが、ここで私個人的には一旦ブレーキがかかります。かなりよじれたメロディについて行けない感が増してしまいました。今になって理解できる部分も出てはきましたが、やはり他の時期に比べると、理解度が低いと申しましょうか、受け入れない部分が多々あります。

そして「The Spice of Life」2枚、これで再度のめり込みました。美メロの宝庫のようなこの2枚、いつもの如く腕達者が集うとはいえ、ここではビル・ブルフォードにジェフ・バーリンです。ジャンルの垣根を易々と超え、プログレとしても名盤の領域に達しております。まあ、とにかく曲がいいです。

CDの時代になってもずっと聴いてはいますが、自分にとっては「The Spice of Life 1/2」と「To Chi Ka」がベストでしょうか。「KYLYN」も捨て難いです。これだけ聴いているのに、お店でかける機会は少ないです。ちょいとアグレッシヴ過ぎて、BGMには向かないものも多いですから仕方ないんですけどね。

加えて7インチ盤で聴くという対象にはなかなかなりませんが、「Unicorn」は音圧高めで聴きたい楽曲代表でもありますから、イベント的にはよく登場します。テクニックは世界のトップレベルでしょうから、その部分だけでも、もっと評価されるべきとは思いますけどね。ここしばらく、あれこれ聴き直して、もっと聴こうかなと考えております。

そういえば、お店には持ち込んでいない初期の盤も自宅のラックを探せばいっぱいあるはずなんですけどね。そこらの方がカフェ向きではあるかもしれませんかね。…「カレイドスコープ」とかもありましたねぇ…。よくよく考えてみると、もの凄い枚数、保有していますね。…一回整理してみますかね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?