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7インチ盤専門店雑記567「ロイヤル・ガーデン・ブルース」

理由も分からず、「何か好きなんだよな、コレ」という盤が結構あります。ブランフォード・マルサリスの「ロイヤル・ガーデン・ブルース」もそんな一枚です。80年代のブランフォード・マルサリスはスティング絡みで語られることが多いわけですが、もちろんそこで知って「何者?」となったわけです。でもフツーは調べがついたとしても、そこまでで、ではソロを買ってみようかとなるのはよほどのことと思います。インターネットが無い時代、ちょい聴きもできないわけで、文字情報から判断したと思いますが、この盤にたどりつきます。

1986年リリースの盤ですが、CDで購入したのは88年か89年だと思います。その頃出たばかりの「ランダム・アブストラクト」と一緒に中古盤を見つけて購入し、コチラの方が気に入ってしまったように思います。その後1990年の大名盤「モ・ベター・ブルース」のサントラに行き着き、猛烈に聴きまくることになるわけですが、最初はそんなに凄いアーティストだとも思っていなかったし、そんなに活躍すると期待もしていなかったもので、実は意外でした。

結局時間が経っても、「モ・ベター・ブルース」と「ロイヤル・ガーデン・ブルース」は聴き続けておりますが、「モ・ベター・ブルース」の方はアナログ盤が手に入らないので、CDでもいいやという時に限って登場することになるんですけどね。「ロイヤル・ガーデン・ブルース」は1986年ですから、アナログ盤があることはありますが、市場に出回っている玉数は少ないかと思います。1986年でも年末に近い時期にリリースされたのではないかと思いますが、アナログ盤が一気に店頭から消えていく頃ですからね…。

ヘッダー写真の盤、まだシュリンクがついております。もうヤレヤレで汚いので、見るたびに剥がそうかとも思いますが、一応思いとどまっております。こういうのはどうなんですかね?10年後20年後に差が出ますかね?シュリンクがついたままのレコード・ジャケットってやはり剥がしたときは新品の名残りを匂わせるというか、「おー、キレイだねぇ」となりますからね。特別意味も必要もなければ、あえて剥がさなくてもいいのでしょう。まあ37年とかいった年数を経過してますから、素材が朽ちてきているようにも思いますが、昔のレコードでシュリンクつきの状態がいいものがあれば、やはり大事にすべきという気になります。…レコードは貴重な文化財です。

さて、この盤、ビルボードのジャズ・チャートではNo.2までいきましたし、グラミー賞もノミネートされるなど、世間の評価は高いんですね。個人的にはスティングのバックアップで知りましたから、もろジャズにちょいとポップな要素が含まれているソロなどが好きだったりします。メンツ的にはロン・カーターやハービー・ハンコックなんかも参加していますし、もっと言えば当時新進気鋭だったベースのチャーネット・モフェットやドラムスのジェフ・テイン・ワッツなどがバリバリのいい演奏を聴かせています。

当時のジャズ本は、全盛期のブルーノートやリヴァーサイド、フリーを中心としたインパルスなどといったコテコテのハードバップ、メインストリームのジャズばかり紹介していて、この辺の新盤に対する評価というものは、新盤のディスクガイド以外はあまり目にすることができませんでした。それでも自分の嗅覚を信じていろいろ聴いていたものですから、結果的にどの時代のものも、いいものを取りこぼすことなく聴いてきたような気がしております。

後の活躍を考えれば、まだスタイルが固まっていないような時期の盤ですが、自分にとっては結構重要な盤だったりします。こういう「何か好きなんだよな、コレ」が、音楽を好きでい続けられるキモかとも思わせます。

何はともあれ、早くからブランフォード・マルサリスを担ぎ出していたスティングの慧眼には感服せざるを得ませんね。

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