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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 高齢社会のモチベーション

2021年10月1日にスタートした中央エフエム「さらまわし・どっと・こむ - The Vinyl Paradise」も、間もなく丸2年となります。すなわち2023年9月末で終了することになります。その前に1年ほど深夜の生放送「東京音楽放送局」という番組もやらせていただきましたから、コロナ禍のさなかのいい気晴らしにはなりました。営業自粛などをくりかえすことになり、思い切り影響を受けた飲食店経営者ですからね。かなり精神的にまいってしまった飲食店経営者も多いと聞きます。目先を変えることができて、本当に有り難い機会をいただいたと思います。もちろん、一音楽好きとしてみれば、自分のラジオ番組を持てるということは、この上ない楽しみでもあります。…まあ、楽しい面ばかりではないんですけどね。

最終回の収録まではまだ少し時間があるのですが、選曲を含めた内容はほぼ固まっております。「最終回はこの曲をかけよう」と思ってとっておいた曲が5~6曲ありまして、それに加えて、話の流れが作り易い曲を加えれば、あっさり決まってしまいます。毎回いろいろなテーマで10~12曲程度をアナログレコードでお聴かせする内容ですから、2年やれば1000曲超のリストができます。それでも「かけそびれてしまったなぁ」という曲が結構あるもので、最終回を含めた最後の4回は、そういったことも考えながら構成しました。ただ最後は「我がアンセム的な曲をかけないと終われない」という感覚は、ラジオ・パーソナリティであれば誰もが持つのではないでしょうか。そんなわけで、「我がアンセム」とは何ぞやという話です。

51歳のときに狭心症で倒れ、その後も血圧異常に加え、不整脈だの心房細動だのといった心臓の不具合を抱えることになりましたので、2度目に倒れた54歳で早期退職と相成りました。結局50代で我が人生を見つめ直し、今後の自分自身の在り方、生き方を考えざるを得ない環境に放り込まれたわけです。退職した年は、早稲田や立教の大学院の講座に通ったりしながら、カフェの専門学校にも通いつつ、会社を立ち上げ、カフェも作ったわけです。会社は今月から10期目に突入しましたが、まあ惨憺たる業績です。やはりコロナは痛かったです。

そんな中でライフワーク的に、ローカル・カルチャーの情報やら、音楽情報を発信していたわけですが、まあ、何でそこに行き着くかというと、その背景には高齢社会におけるモチベーションが多く含まれていると考えたからなんです。団塊の世代の引退とともに、日本の社会構造そのものが急速に高齢社会化したわけですが、ここ数十年を振り返ると、バブル崩壊後のネット社会の到来とともに、様々な分野でのIT化に振り回されてきたわけです。その結果、疲れ果てた高齢者が大量に生まれたわけで、昭和レトロで現実逃避も必然の付帯物としてあるようです。

個人的には「温故知新」とか、「時代は巡る」ということを大事にしたい感覚があり、アナログレコードが手元に大量にあることもあって、音楽を絡めて高齢社会におけるモチベーションを探る作業が生活の基軸となりました。要は我がアンセムはこういった部分の色濃いものというわけです。ローカル・カルチャーに関しては、知らなかったことも多いわけで、知れば知るほど面白くなっておりまして、グローバリゼーションに相対するグローカリゼーションを、カフェと言うハコをメディアに仕立てて実践しております。感覚的には、遊興の地としての深川の情報発信基地です。とにかく歴史的に面白い土地なんです。サブカルの近現代史研究もそういった視点でやっております。

ところで、ヘッダー写真のザ・クラッシュ「ロンドン・コーリング」、180g重量盤アナログ2枚組ですが、未開封のまま保存してあるものです。お店で時々かけている盤とは別物です。何でこんなものが大事にとってあるかというと、高齢社会のモチベーションについて語る上で、シンボル的な盤として捉えているからなんです。このジャケットのロゴの配置はエルヴィス・プレスリーのオマージュなわけで、音楽的コぺ転の象徴としても、温故知新的にも語れる盤なんです。

自分の感覚として、還暦過ぎでいきなり老け込むこともないと思うわけです。自分だって、昔のお年寄りのように和装に行くこともなし、ジーンズにTシャツでいるわけです。…たまたまですが、今日はこのジャケットのTシャツを着ております。

何も親しんできたライフスタイルを変える必要もないというのも、高齢社会におけるモチベーション維持にはなると思っています。音楽だって、J-POP、City Popブームみたいなものもありますが、聴き馴染んできた音楽をそのまま聴いていればいいと思うわけです。パンクジジイもメタルジジイもありだと思います。「あの爺さん、何かワケわかんねぇ人だなと思ったらプログレ好きだったか」…などというのもステキです。

人生100年と言われるなら、高齢者となってからの30年なりを、少しでも楽しく生きたいではないですか。…まあ、健康長寿であることは大事ですけどね。「元気が出る曲特集」のイベントも、こんなことも考えながら準備しております。要はラジオ番組の最終回ともリンクした内容となりそうです。ラジオよりはお気楽に行きますけどね。


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