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7インチ盤専門店雑記502「John Haydock」

音楽の聴き方は長年の積み重ねがあるので、そうそう変わりようもないのですが、情報収集の方法は随分変わりました。昔は音楽雑誌とラジオが中心でしたから、アーティストに関しても想像するしかないところもあって、後々映像で観て興奮したり、ガッカリしたり、いろいろでした。思っていたのと違うのはグラムロックの連中が多いわけですが、アメリカンな連中は映像に接する機会も少なく、年取ってから初めて目にして、ビックリという場合もありました。日本における洋楽、それもロックの情報が如何に英国寄りだったか、今さらに思い知らされます。そういう意味では、英米以外はフレンチ・ポップスとかも含め、もっと情報が少なかったですね。

さて、ジョン・ヘイドックというブルース・ロックをやっている人間をご存知でしょうか?オーストラリアのシドニーが拠点ということくらいしか分かりません。それでも、何故かYouTubeを観ていると出てきます。同じ傾向のアーティストの動画をチェックしているからでしょうか。…これが最近とても気に入っているんです。何がいいって、音楽はフツーのブルース・ロックなんですけど、ミュージック・クリップが気に入っているんです。

モノクロ基調のロード・ムービー的なものが多いのですが、時々海の景色が出てきたり、見慣れない鉄道が出てきたり、チョットしたパラレル・ワールドを旅する気分にさせられます。やはりUS Route 66の標識なんかも出てきたりするわけで、アメリカンなテイストを前面に打ち出しているのですが、微妙にアメリカンでないことが分かるところが面白かったりします。いかにもアメリカンな音なのに、チョットだけ違ったローカル風味が加わっているとでも申しましょうか。店で流していると、常連サンたちは気になるようで、「これ、誰?」とよくお声がけいただきます。結局「ふーん」で終わってしまうんですけどね。

一方でアラン・ロマックスのアーカイヴ映像なんかもよく観るわけで、こういった本格的なブルースと比べるとジョン・ヘイドックなどは随分薄口に感じられます。当然ながら比べるべきものではありません。そんなこたあ承知しております。でもアメリカ市場とかを見据えて活動しているのであれば、スルーできる存在ではありません。

ただし世代も違えば、国も違うわけで、パラレル・ワールド的ブルースが心地よく鳴っているというのも悪いものではありません。何でもありな聴き方をする自分のような人間にとって、どちらが店で鳴らすべきものかというと、ジョン・ヘイドックになってしまいます。特にいいと感じる映像も、郷愁をかきたて、旅立ちたくなるような感興をもたらしてくれますから。…でもさすがに求められればアラン・ロマックスのアーカイヴ映像はいつでも出てくるようにしてあります。自分にとっても、営業時間外はこちらの方がいいわけですから…。

それにしても貴重な映像の数々、有り難く拝見しております。

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