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7インチ盤専門店雑記660「アンブロージア」

先般、ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジに絡めて、アンブロージアのデビュー曲「涙のイエスタデイ Holdin' On To Yestrerday」について書きました。

そうしたところ、昨日、お店の常連さんでもある散歩の達人saki.ssさんが備忘録的にアンブロージアのサントラ収録曲について書いていらっしゃいまして、曖昧になっていた記憶がポンっと繋がってきましたから、アンブロージアについてもう少し書いておきます。

とにかく、有名バンドでありながら、日本での認知度が低いのか、中古盤店でも3枚目以降のアルバムしか見たことがありませんでした。7インチ・シングルは相当レアかもしれません。1975年リリースのファースト・アルバム「Ambrosia」は、アルバム・チャートで22位まで行っておりますから、結構なビッグ・ヒットだったはずなんですけどねぇ。

翌76年のセカンド・アルバム「ピラミッドの伝説 Somewhere I've Never Travelled」は、ピラミッド型の変型ジャケット(ヘッダー写真)が有名ですが、あまり売れておりません。79位どまりです。これ、凝ったジャケットのせいで売れば売るほど赤字という噂があったほどで、積極的にプロモーションしてもらえなかったのでは、と言われておりました。しかも、勝手に「ウィズ・アラン・パーソンズ」にされてるし…。私はもうリリース直後に購入しておりましたが、CD化の際もピラミッドは再現してなかったように思います。…とにかく音がいいアルバムです。

78年の3rdアルバム「遥かなるロスの灯 Life Beyond L.A.」は、グッとAOR寄りとなり、最大ヒットを記録します。アルバム・チャート19位です。シングル「お前に夢中 How Much I Feel」はビルボードで3位の大ヒットになりました。

1980年の4thアルバム「真夜中の晩餐会 One Eighty」は路線踏襲、同じく25位まで行くヒットとなりました。ここからは「Biggest Part Of Me」(3位)と「愛にときめいて You're The Only Woman」(13位)の2大ヒットがでます。

1982年には5thアルバム「Road Island」がリリースされます。同じ路線ながら115位どまりと振るわず、ここで一旦ストップとなります。89年に活動再開して現在も活動中のバンドですが、スタジオ録音は5枚しかありません。なお面白いなと思うのが、グラミーに5回ノミネートされているんです。業界内での評価などは無茶苦茶高いんですよね。

このバンド、ギターのデヴィッド・パックとベースのジョー・プエルタが中心ですが、キーボードのクリス・ノースとドラムスのバーリー・ドラモンドという創設メンバーは2000年までは変更なし、サポート的にちょろちょろといろいろな人が加わります。デヴィッド・パックは2000年に脱退してしまいます。彼の後任はダグ・ジャクソン、ケニー・ロギンスやゲイリー・ライトといった人をサポートした名うてのギタリストです。ちなみに現在の女性ヴォーカリスト、メアリー・ハリスはバーリー・ドラモンドの奥さんです。

82年から89年までの活動休止中、デヴィッド・パックとクリス・ノースはアラン・パーソンズ・プロジェクトに合流、ジョー・プエルタはブルース・ホーンズビー&ザ・レインジ、バーリー・ドラモンドはいろいろなところで名前を見たという印象です。途中サポート的にメンバーに加わった人間はブルース・ホーンズビーもおりますし、キース・エマーソン、カール・パーマーと一緒に「3」というユニットで活動したロバート・ベリーも一時在籍します。実際のところ、人間関係は良好ですし、演奏テクニックもハイレベルで、もっと注目されてもおかしくないバンドなんですけどね。日本ではレコードは手に入り難いし、評価はされても人気はイマイチという印象です。

盤質Cの見本盤なら手元にありますけどね…

ちなみに、「ビゲスト・パート・オブ・ミー」のような大ヒットでも7インチ・シングルは入手困難です。

そういえば、85年リリースのデヴィッド・パックのソロ「Anywhere You Go」は映画「White Nights」で使われた曲もあって、結構売れていたと思います。

またsaki.ssさんの記事にあるように、「Outside」という、映画「Inside Moves」のサントラ盤収録曲があります。この映画、「サンフランシスコ物語」という邦題を持っているようですが、7インチ・シングルには「ドリーミング」というタイトルが書いてあります。記憶がポンっと繋がったのはこの部分なのですが、「あれかぁ!」というわけで、邦題が途中で変更になったのでしょうか。しかもこの曲、デヴィッド・パックとマイケル・マクドナルドの共作なんです。結局アンブロージア周辺、こういった情報もあまり明確になっていないあたりなんです。


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