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7インチ盤専門店雑記558「フツーのロック」

毎度書いておりますが、アナログ盤、それも7インチ・シングルは88年頃にもうほぼ終わっております。88年89年はほぼ見本盤しか見かけません。それでもこの時期のアナログ盤はもう技術的な頂点にありますから、本当にいい音で鳴ります。一方でLPはペラッペラに薄い軽量盤が多く、しかもCD的な収録時間になっているのに無理やりLPに突っ込むので溝が細いことが多く、残念な盤もあります。好きなアーティストの盤や好きな曲があれば、88年89年の7インチは探す価値がありますが、LPはこだわらない方がよさそうです。

ヘッダー写真はビリー・スクワイアの89年8月リリースのアルバム「ヒア・アンド・ナウ Here And Now」収録曲「Don't Say You Love Me」の7インチ・シングルですが、ご案内の通り見本盤です。東芝EMIはこの時期、定型デザインの見本盤を提供しておりますから、スリーヴ・デザインは面白くないのですが、一見して見本盤だと分かりますし、必要な情報は一応盛り込まれています。アルバムの発売日まで印刷されています。クレジット・オタクには有り難いものです。

この盤は「1.8.8」という、提供された日付なんでしょうか、発売日前日の日付が手書きされております。平成元年8月8日ですね。見本盤は当然ながら初期のプレスです。高音質を求めるオーディオ・ファンが好むものでもありますが、私個人としては、音がいい通常盤のほうが好みです。

1980年代前半、ビリー・スクワイアは大好きでしたねぇ。中野サンプラザでのライヴ、当日会場に行ったら中止ということで本当に残念でしたが、こういうフツーのハードロックが本当に好きだったんです。以前にもそんなことを書いておりました。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・キャンベルやチープ・トリックなどと絡め、ビリー・スクワイアも登場しております。

とにかく「Don't Say No」「Emotions In Motion」「Signs Of Life」という絶頂期の3枚は大好きでした。何度聴いたことか…。とりわけ「Don't Say No」は聴きまくりでしたね。「In The Dark」を如何に迫力ある音で鳴らせるかが自分のオーディオの指標だった時期もあります。あのイントロは好きでしたねぇ。A面のアタマ3曲「In The Dark」「The Stroke」「My Kinda Lover」と「Too Daze Gone」がねぇ、カセットテープに入れてカーステレオやウォークマンで繰り返し聴いたものです。

今でも相変わらず好きですけど、オーディオ趣味も微妙に変わってきていることもあって、実は最近はこの「Don't Say You Love Me」がいい音で鳴らせるかが気になっております。もうフツーに高音質です。高音・低音の入り方ももの凄いレベルです。ただ時代的にデジタル移行期、つまり80年代後半のCDなどは鳴りがチープでしたから、アナログの方が圧倒的に迫力がありまして、その音を上手く再生したいわけです。デジタルっぽくない鳴りにしたいとでも申しましょうか、中音域も豊かで音圧高めの鳴りを上手く取り出したいんですよねぇ…。まあ、この見本盤は放っておいても、フツーにいい音で鳴ります。「何だコレ?」って言うくらいいい音です。

レコード会社との確執等もあって、90年代後半からは音楽活動をろくにやってないということですが、…勿体ないですね。趣味的にでもやればいいのに…。

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