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7インチ盤専門店雑記669「グレート・カヴァー3:マスカレード」

「マスカレード This Masquerade」、レオン・ラッセルが72年にリリースした大名盤「カーニー」収録の名曲です。レオン本人は「タイト・ロープ」のシングルB面にしております。これを翌年すかさずカヴァーしたのが、ご存知カーペンターズでして、大名盤「ナウ・アンド・ゼン」に収録しております。…やることが素早いです。そして、カレンの声によく合っていたと思います。

1976年にはジョージ・ベンソンが、これまた名盤「ブリ―ジン」にこの曲のカヴァーを収録しております。しかもグラミー賞まで受賞してしまいます。評判のいいカヴァーなのでしょうが、個人的にはカーペンターズのカヴァーが素晴らし過ぎて、「ふーん」といった印象でしたね。今ならそれほど否定的に思わないかも知れませんが、タイミング的に厳しかったように思いますが、グラミー賞最優秀レコード賞受賞、最優秀楽曲賞と最優秀男性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞にノミネートということで、しっかり結果を出しております。シングルとしてヒットしましたからね。…シングル・テイクは随分短いんですけどね。

そんなわけで、グレート・カヴァーがどんどん生まれた曲ですが、作者のレオン・ラッセルはシングルB面で世に出したわけです。でも、カヴァーが評判になったこともあるのでしょう、77年頃に日本ではA面にしてシングルがリリースされました。しかもB面が「ソング・フォー・ユー A Song For You」です。リリースのタイミングやらいろいろありまして、名曲の誉れ高い「ソング・フォー・ユー」はシングル・ヒットしておりません。ここでB面に入れた判断はよかったのではないでしょうか。…その後1986年にはアサヒビールのCMで使われて、楽京レコード(Rakyo Records)から「タイト・ロープ」をB面にして再発されました。「名盤復活!」とかやってましたね。

さて、ヘッダー写真はシビル・シェパードの「マッド・アバウト・ザ・ボーイ」です。映画「タクシー・ドライバー」やTVドラマ「こちらブルームーン探偵社」などのヒロインとしても知られる女優さんですが、ジャズ・シンガーでもあります。この76年リリースのスタン・ゲッツをフィーチャーしたジャズ・ボッサ・アルバムでも「マスカレード」はカヴァーされております。このテイクをクルマの運転中にラジオで聴いて、「誰や!」となっておりましたが、何年後…おそらく20年くらいは経って、ようやくシビル・シェパードだと判りまして、「ええやん」となっておりました。

ただ、いろいろ調べていくうちに、「あれ、コレ持ってるよね…」と気づくわけですが、まあそんなわけで、このグレート・カヴァーを聴くと、ちょいと自分の間抜けさが思い出されて辛いのですが、このカヴァーはいいですよ。しっとりとしていて、とてもいい雰囲気です。カーペンターズに勝るとも劣らず、と考えておりますが、果たして同意が得られますか…。あまりにマイナーなところを出してきてしまったので、「知らん」で終わりそうですが、個人的には好きは好きです。実はスタン・ゲッツがあまり好きではない自分にとっては、バックがちょいと甘すぎる嫌いもあるのですが、シビル・シェパードのヴォーカルはいいです。

ジャズ・ヴォーカルによるカヴァーって、ヘンにこねくり回していて好きではない場合が多いのですが、こういうさらっと歌うスタイルはいいですね。

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