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7インチ盤専門店雑記783「ストラスブール / サン・ドニ」

先週末のオススメ曲を持ち寄って語るイベントで、自分が最初に出した一曲は、ロイ・ハーグローブの「ストラスブール / サン・ドニ Strasbourg St. Denis」でした。2008年のアルバム「Earfood」収録曲です。ただし、ご紹介したのは、New Morning Clubというライヴ・スポットでの演奏です。動画の表記が正しければ、2007年の演奏ですから、アルバムがリリースされる前のものです。

この日のこの演奏が好きでしてねぇ。他にもロイ・ハーグローブの「ストラスブール / サン・ドニ」はYouTubeでいっぱい観ることができる有名曲ですが、この日の演奏がいいんです。初期の演奏はまだあまり崩してないので、曲全体の構成や主題の展開がよくわかります。アルバム・リリース前だと、崩しているかどうかもあったものではありませんけどね…。

こういった演奏の存在を抜きにしてみれば、崩してやっているものでも、素晴らしい演奏を聴くことはできます。さすがに天下のロイ・ハーグローブのライヴに参加している面々は、若手でも皆んな上手いです。ただしこういったシンプルでメロディアスな曲は飽きてしまうのでしょうか、崩しますよねぇ…。単なるアレンジとも違う意味で言ってますけどね。

例えば、ベースから入ってくる↑このブリュッセルでのライブですが、後半は熱くなって行きますけどね…。崩してますよね。RHファクター的なロイ・ハーグローブのファッションも気になりますが、私個人的にはRHファクターはハード・バップをやっているときよりも好きなので、そこはしっかり峻別すべきとは思います。

昨日も書いたかと思いますが、私はどうしても軸足がポップス/ロック側にあるもので、ジャズを聴くときもメロディアスなフレーズを抽出することに注力してしまいます。この曲は、曲の中にいくつものメイン・フレーズがあるような、実にポップな面もあるので、典型的な好みのタイプです。しかも2000年代初頭のRHファクターとして、R&B/ヒップホップ系の活動を経てハードバップの世界に戻って来た時期の音源ですからねぇ…、外から見たジャズの格好良さが見えてしまったのかなという気がします。バックショット・ルフォンクやRHファクターのような、ジャズとR&B/ヒップホップを行き来するような音楽は大好きなもので、ロイ・ハーグローブにはもっとRHファクターとしての活動を続けて欲しかったんですけどね。…もう亡くなってしまったんですよね。…悲しいなぁ。

ちなみに「ストラスブール / サン・ドニ」というのはパリの地下鉄の駅名だそうですが、インストルメンタルな音楽のタイトルというものは言ったもの勝ち、こういうイメージを持ったと言われればそれまでですが、何だか素敵な響きなのでこのタイトルはアリだなと思うわけです。…果たして清澄白河という駅名からイメージできるメロディがあるとしたら、どんなものになりますかね。…あんまり素敵なイメージが持てる響きではありませんな。

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