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7インチ盤専門店雑記518「ジョン・ウェットン」

産業ロックの代表的存在とも言えるAsiaとかU.K.に共通して在籍しているジョン・ウェットン、日本では地味に人気があります。私も結構ライヴは観ております。エイジアのチケットを買ったはずなのに、当日行ってみたらジョン・ウェットン・バンドのライヴになっていたこともありました。それが許される人です。「君たちサイコーだよ~」のMCを何度聞いたことか、…耳に残っております。思うにプログレの大衆化を自ら実践した男です。次回のイベントでは、キング・クリムゾンあたりを題材に「プログレの大衆化と産業ロック」について少し語ろうとしているわけです。…余人を持って代え難し。

1987年リリースの「ウェットン・マンザネラ」というアルバムがありまして、音的にはエイジアの延長に位置します。…もう少しポップ&メロウかな。でも結構好きな盤だったりします。スティーリー・ダン「ドゥ・イット・アゲイン」のカヴァーなんかもやっていたりします。でも、これはまあまあですかね…。

アルバム冒頭の「It's Just Love」という曲がありまして、エイジアはやっぱりジョン・ウェットンの音なんだなと思わせて面白いんです。…ロキシー・ミュージックのテイストも入っているあたりがまた何とも面白いわけです。加えて「Suzanne」という人気曲も入っております。ちょいとメロウに行き過ぎかなとは思いますが、何となく時代の音という印象もあります。ブライアン・フェリーの美学が「アヴァロン」に昇華したあとだけに、二番煎じ的かもしれませんが、この御仁、美メロならいくらでも書けるといったところでしょうか。

ジョン・ウェットンのソロでは、1994年の「Voice Mail / Battle Lines」(邦題が変更になったり、ちょいとゴタゴタした盤です)の「Jane」という曲が好きでして、まあここまで徹底して美メロに徹すればさすがと言いたくもなります。実は個人的に産業ロックという言葉からイメージする代表曲と思っております。ここでギターを弾いているのはスティーヴ・ルカサーでして、実にありがちな、といったところです。…でも好きですね、こういうの。

The All Four Original Members of ASIAと銘打っての再結成後の来日公演も結構ありましたね。如何せんくっついては離れて…をあちこちでやらかした人でした。そして、何でもあり〜なセットリストで、結構楽しいライヴなんです。昨日の記事でも触れたスティーヴ・ハケットの来日公演が、ジェネシス・リヴィジテッドなのにキング・クリムゾンの曲もやってしまうあたりから、もう本当に何でもあり〜なんです。その中心にいるのがジョン・ウェットンなのでは、と言いたいわけです。…プログレの大衆化と産業ロックの中心に居たと言っても過言ではないでしょう。

そしてその流れを助長した…というか、その方向性を可能にしたのは、日本での人気ではないかとも考えているわけです。産業ロックなどと言っておきながら、日本も巨大マーケットですからね。

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