劇場版「モンスターエナジーと賢者の聖水」
鞭を打つ代わりに投与 怪物って名前の飲料
唄も恥も汗もかかず生きる道をえらぶのかい?
バズマザーズ「ハイエースの車窓から」
今回は「銀ぶちペンギンの自己紹介だペン。」を書いていない方がお送りします。あの記事、すごくよかったですね〜。私は一切書いていないですし、内容について何らの要望も伝えていなかったため、新鮮な喜びをもって読みました。自己紹介として申し分なく、ユーモアの配分が絶妙で退屈もせず、あ、未読の方がいらっしゃるかもしれませんね。ぜひ読んでみてください。
さて、冒頭に掲げた文章について少しお話ししてもいいでしょうか。私が愛してやまないバンドの一曲からの引用です。「怪物って名前の飲料」、これ何だかわかりますか? 「モンスターエナジー」、エナジードリンクの商品名です。「モンスター」と呼ばれたりしています。
私はコロナの広がりとともに在宅勤務になったんですが、毎週金曜日はその週の疲れが蓄積している上にいつもより早めに起きて仕事を始めることも多く、この「モンスター」に最近頼りがち。飲めば瞬く間に湧き出す怪物級のパワー、跡形もなく消え去る眠気、捗る仕事。そう、一口飲めばそこはまさに精神と時の部屋。とまでは言えませんが、そんなわけでこいつを毎週飲んでいました。
ある日のことです。それはいつもならそいつを投与する金曜日。ただ、その日私はそいつを飲みませんでした。社外の方とのリモート会議が予定されていたため、怪物と取引する勇気がなかったのです。
そう、これは怪物との取引。モンスター的パワーを得るには代償が必要なのです。
多くの人が「カフェイン」と呼ぶそれを、私は「水源」と呼びます。怪物と契約し、圧倒的なパワーを得る代わりに、私の体内に埋め込まれる水源。これが力の代償です。
特に打ち合わせなどがない日ならいくら飲んでも構いません。水源のせいでお手洗いに立つ回数は増えますが、それは些細なこと。しかし自分のタイミングで席を立てない時はこれが一気に大問題なのです。
打ち合わせの直前に用を足しておけばいい、などと思った方は水源の恐ろしさをわかっていません。5分ともたない時だってあるのですよ。本当の怪物は水源だと言っても過言ではないでしょう。
私は水源の恐ろしさを正しく理解し、正しく評価し、正しい決断を下しました。
「今日は打ち合わせがあるからモンスターは飲まないでおこう」
完璧な判断です。非の打ちどころがありません。事故など起こりようもない。しかしわざわざ何も起こらないのにこんなこと誰も書きませんよね。そう、事故は起こるのです。
事件は会議室で起きてるんじゃない、という言葉がありますが、事故は私の部屋で起きていました。打ち合わせのさなか、モンスターを飲んでいないはずの私の体内に、水源が現れたのです。
それは擬似水源ともいうべきものでした。はじめはなぜそれが発現したのか全く見当もつきませんでしたが、私はある可能性にたどり着きます。
「毎週金曜にモンスターを飲んでいたから、体が金曜日になると水源を求めるようになっているのではないか? それが擬似水源を生んだのではないか?」
真相は誰にもわかりません。いやお医者さんならわかるかもしれません。しかしそんなことはどうだっていいのです。もし、私の推理が正しいとして、あなたならこの現象を何と呼びますか? 今日はそれが聞きたくてこんな文章を書きました。ぜひあなた渾身の命名を、まさにそれだという呼び方を、私に教えてください。
さて、ここでもう一度冒頭の歌詞を。
鞭を打つ代わりに投与 怪物って名前の飲料
唄も恥も汗もかかず生きる道をえらぶのかい?
バズマザーズ「ハイエースの車窓から」
「唄も恥も汗もかかず生きる道をえらぶのかい?」がグッときますね。少なくとも私はその日、恥はかかずに済み、少し冷や汗をかきました。
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