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子どもが自律して読書をするためのサービスデザイン【後編・読書の習い事】

後編からでも読めますが、前編です↓↓


後編から読む方に向けて

こんにちは、Yondemyでデザイナーをしているもろじゃいるです。

「ヨンデミー」は、Webで読書を習うことのできる、子ども向けのオンライン習い事サービスです。

サービスの流れはこんな感じです。

  1. 毎日チャット形式のレッスンを受ける

  2. 1人1人に合った本をAI選書がお薦めされる

  3. 本の感想を入力して、選書にフィードバックを送る

サービスの顧客価値は、読書が苦手だった子が、自分が没頭して読める1冊に出会い、読書がなんとなく好きになり、そして幅広くレベルの高い本を自律的に読めるようになることにあります。
「難しい本を読めるようになった」とか「国語力が上がった」という結果が価値なのではなく、「自分から読む」という自律性が重要なポイントです。(前編ではもう少し深く触れています)

さて、この価値をどのように子どもに届けるか。
どうすれば子どもたちが「自律的に読む」ようになるのを助けることができるか。
そのためには、子どもたちとヨンデミーの関係性がどうあるべきか、ターゲットユーザーが子どもであること読書という行為の特性の2つの観点で検討します。

後編では「読書という行為の特性」にフォーカスを当てていこうと思います。

オンライン教育ではなくオンライン習い事

Yondemyは教育領域のプロダクトなのですが、私たちは敢えて「オンライン習い事」という表現をしています。

あまり聞き馴染みのない言い回しだと思うのですが、「読書を習う」というのはどういう意味なのでしょうか?

習い事は何の課題を解決しているか

突然ですが、楽器を習ったことはありますか?

私は小中高とピアノを習っていたのですが、ピアノの練習では、反復練習しているうちに、気づいたら無意識に身体を動かせるようになって曲が弾けるという状態を目指します。

しかし、身体というのはなかなか強情で、全く自分の思い通りの動きはしてくれません。練習していると身体が制御不能になることが度々あります。
例えば、リズムがとれない。指がまわらない。
次の音を忘れる。そして練習しているうちにだんだん疲れてくる……

身体を無意識に動かせるようになるためには、並々ならぬ忍耐が必要であり、一人で黙々とやるにはあまりにも辛い試練です。

楽器の習い事はこの問題をどう解決するか。
結局、無意識に身体をコントロールできるようになるには反復練習するしかないので、反復練習には耐えてもらう他ありません
そこで習い事は、この試練に耐えてもらうために、レッスンをしたり褒めてくれたりする先生や先輩、一緒に練習する友達、目標になる発表会、教室という居場所を提供しています。

読書も、楽器の演奏と同様、身体を使った高度な動作を伴います。

読書というのは、当然ですが、直接本から脳に情報が注入されるわけではありません。
前の文脈と自分の知識から、書いてある文章の意味を推測し、その行を目で追い、その行の内容を覚えておきながら次の行に目を移す。同じことを何行も繰り返し、たまに手でページをめくり……という身体を使った動作が必要です。
読書好きはこの身体動作を無意識下で行っています。小説を読みながら情景が頭の中に思い浮かんでいる時、行を追いかける目やページをめくる手を意識することはありませんよね?

しかし、この動作も慣れていないと制御不能になることがよくあります。
例えば、行を間違えて読んでしまう。
書いてある内容の意味がわからなくなり前のページに戻り、また読み直す。
そうこうしているうちに、1ページも進めないのにも関わらずだんだん疲れてくる……

ストレスの溜まることに自分から進んで取り組むというのは、特に子どもにとっては難しいことです。それは楽器の演奏に勝るとも劣りません。

事実、子どもたちには本より圧倒的にYouTubeの方が人気です。動画では、自発的に何もしなくても情報が流れてきて、画面をじっと眺めてただ情報を受け取るだけです。さらに適度にサウンドエフェクトが挿入され快楽を感じさせてくれます。

この問題に対する解決策は、習い事のアプローチに学べるのではないだろうかと私たちは考えています。
無意識下で身体動作をコントロールできるようになるには、たくさん読書をするよりありません。そのためには、楽器の習い事と同様に、頑張れる環境を用意する必要があります。
それを提供するのが「読書を習う」ヨンデミーです。

行動変容デザインから習い事を考える

習い事特有のアプローチとは、どんなものなのでしょうか?
子どもに行動変容を促す手段として、教育や啓蒙と比較して考えてみましょう。

『行動を変えるデザイン』(オライリー・ジャパン, 2020年)では人が何か行動している時・行動しようとする頭の中を、無意識のモード集中した思考のモードの2つの間のグラデーションで捉えています。

無意識=身体に根ざしたもの
集中した思考=理性
と言い換えて良いと思います。

そして、人の行動を変えるには、その意思決定のモードごとに適切な介入が必要になります。例えば無意識モードの行動には習慣づけが有効、集中して行う行動には教育が有効だといいます。

先述の通り、読書の楽しさを得るための一番の障害は身体動作であり、理性で制御できない無意識モードの行動です。

すなわち、読書が苦手な子に対して読書についてあれこれと楽しさを教育・啓蒙してもあまり効果がなく、

・習慣づけするために周囲の環境を整える(発表会などマイルストーンをつくる、教室という居場所、友達の存在など)

・自分はうまくできるという自己認識を与える(褒める、1ステップを小さくして達成感を与えるなど)

というアプローチが有効なのです。
これらのアプローチは、まさに習い事で行われていることです。

まとめると、「読書することができるようになる」というのは「楽器を弾けるようになる」というのと同じくらい難しくストレスのかかる行為であり、反復練習が必要です。
反復練習に耐えるには、頑張れる環境が必要であり、楽器の習い事のようなアプローチが有効です。
習い事は、教育や啓蒙とは違い、環境を整えたり、自己認識を与えたりといったアプローチで、子どもたちと関わります。

価値の届け方を考える

ヨンデミーは、子どもたちが自分から幅広い本を読めるようになるという価値を届け、読書という手段を譲り渡します。

「プロダクトに人格を与える」(前編参照)と「教育ではなく習い事として子どもと関わる」の2つは、「どうやって子どもたちとヨンデミーが関わるべきか?」という問いを考えてきて、現在至っている仮説です。

この2つはいずれも、情緒や身体という、理性ではどうにも対処できない部分に対して、それを肯定してなんとか向き合っていくという姿勢があり、私はそこがヨンデミーで大好きなところです。

プロダクトデザイナー募集中!!

Yondemyはまだ創業から2年も満たないスタートアップですが、これらのようなことをデザイナー以外も一緒になって考えています。

しかし、ヨンデミーはまだまだ成長途中のプロダクトです。
子どものユーザー体験もまだまだ理想からは程遠く、荒削りの状態です。

ぜひ、私たちと一緒に全く新しい「読書を習う」という体験を作るチャレンジをしませんか?
ヨンデミーオンラインが提供したい価値に共感して下さった方、またYondemyの事業に興味がある方は、今すぐ転職をお考えでなくても構いませんので、ぜひご連絡ください!

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