見出し画像

子どもが自律して読書をするためのサービスデザイン【前編・人格をもったサービス】

このブログ記事は、「プロダクトづくりのための挑戦とその成功・失敗談を綴るアドベントカレンダー powered by プロダクト筋トレ」アドベントカレンダーの8日目の投稿です。

初めまして

YondemyというEdTechスタートアップで、プロダクトデザインをしているもろじゃいると言います。今年4月から東大工学部を1年休学して、開発に取り組んでいます。
Yondemyは創業2年目のスタートアップで、先月資金調達を発表しています!

子どもの読書

昨今、子どもの読書離れが進んでいると言われて久しいですが、あなたの周りのお子さんはどうでしょうか?

自分が昔読んだ本を薦めても全然読んでくれない、図鑑は読むけどフィクションは読まない、『かいけつゾロリ』とか『おしりたんてい』しか読まない。そんな悩みはありませんか?

子どもが読書好きになるオンライン習い事

私たちは「ヨンデミーオンライン」という、子どもが読書好きになるオンライン習い事サービスを開発しています。

サービスの流れはこんな感じです。

  1. 毎日チャット形式のレッスンを受ける

  2. AI司書にお薦めされた本を図書館で借りて、読む

  3. 感想を入力して、選書にフィードバックを送る

サービスの利用を通して、読書が苦手だった子が、自分が没頭して読める1冊に出会い、読書がなんとなく好きになり、そして幅広くレベルの高い本を自律的に読めるようになることが提供している顧客価値です。

ヨンデミーオンラインの顧客価値

自律的に読めるようになる」というのは、実現できればかなりユニークな価値だと考えています。
反復練習でスキルアップするという点で似ている、外国語学習アプリのduolingoと価値を比較するとこんな感じです。

弊社代表の笹沼がサービスのコンセプトを表現する時に、よく「“手段”を譲り渡す」という言葉を使うのですが、これがヨンデミーオンラインの価値をまさに特徴づけています。

「難しい本を読めた」とか「国語の成績が伸びた」とか「読書感想文をうまく書けた」といった結果を出せば良いというわけではなく、また「ヨンデミーオンラインを使っている間だけ読書をして、やめたら読書しなくなる」というのでもNGです。

サービスを通して、自律的に読書することができるようになり、読書という手段を子どもたちが自分で選択できるようになるのが、ヨンデミーオンラインの価値です。

なぜ「手段を譲り渡す」必要があるのでしょうか?
それは読書の先にある価値は子どもそれぞれであり、そこに私たちは干渉すべきでないという思想が大元になっています。
大人になってからも自分の手にしたい幸せを得る手段として、学びの手段として、読書を選択肢の1つとして持っているという状態を目指しています。

どう価値を届けるか

さて、ではこの「自分から幅広い本を読めるようになる」という価値をどう子どもに届けるか。(決済者は保護者なので、保護者の価値も同時に考えていく必要があります。が、ここでは省略します)

子どもたちとヨンデミーオンラインの関係性がどうあるべきか、子どもたちの行動を観察し、仮説を立て、検証する必要があります。
記事の前編では、ターゲットユーザーが子どもであることに注目して、後編では読書という行為の特性に注目して考えていきます。

プロダクトに人格を持たせる

直感で使う/使わないを判断してしまう子どもがターゲットである以上、ヨンデミーオンラインにおいては、機能的価値と同じかそれ以上に、情緒的価値を重視する必要があります。
UIデザイナーの河原香奈子さんがインタビュー記事で、情緒的価値を実装するには何が必要かという質問にこんな形で答えられていました。

難しいですが、まずはデザイナー自身が「満足しない」ことじゃないでしょうか。機能面の目的達成だけをゴールにしない。結構「やるかやらないか」な面もあると思ってて。
まずは使いやすいかどうかをクリアできるまで整えて、その上でもう一段階の粘りでもっと魅力的にできないかを時間の限り考えたいとは思っています。そういったフィーリングの部分も含めてUXなので。
あと、私の場合はプロダクトの「人格」という切り口からも考えてみることが多いです。このプロダクトが人だったら、どういう語り口や反応をするのかとか。

https://www.td-media.net/interview/what-is-ui-ux-vol-4/ より引用

Yondemyでもプロダクトに「人格」を持たせ、その人格がどうあるべきか議論することを通して、子どもたちとプロダクトの関係性を考えています。

具体的に見ていきます。

ヨンデミーオンラインには、毎日チャット形式でレッスンをしてくれる「ヨンデミー先生」というオリジナルキャラクターがいるのですが、その設定を作り込み、プロダクトのUIや文言にもヨンデミー先生のイメージを一貫して反映するようにしています。

画像4
ヨンデミー先生のキャラクター設定

さて、ではヨンデミー先生の設計指針にどんな意図を詰めたかについて、3つのキーワードで見ていきます。

1つ目:傾聴

子どもたちを観察する中でわかってきたことが1つあります。
それは「親子で本について会話することが多いと、子どもは本好きになる」という仮説です。

私たちはこの仮説を、自分に構ってくれる相手の存在や、身近に読書好きな人がいるということ自体が重要で、親でなくても良いのではないか、と考えています。

ヨンデミー先生は、親代わりとは言わないまでも、子どもに耳を傾けてくれる優しい先輩のような雰囲気になるようにしています。
そして、ヨンデミー先生のアイコンの表情、レッスンで発する文言、UIのスタイリングまで、子どものタッチポイント全てに一貫性を持たせるようにしています。

2つ目:弱さ

ヨンデミー先生は、少し抜けた雰囲気が出るようにデザインしています。
完璧を目指すのではなく、弱さを適度に見せることで、ユーザーのモチベーションをうまく引き出せるのではないかと考えています。

このアイデアは、豊橋科学技術大の岡田先生の<弱いロボット>という研究から着想を得ています。具体的な施策はまだそこまで打っていませんが、今後検証していきたい仮説です。

3つ目:中性的

ヨンデミー先生はAI司書なので、男性でも女性でもありません。
「先生」というと「ガウンに身を包んだ髭を生やしたおじいさん」というステレオタイプがありますが、男の子でも女の子でも親近感を持ってもらえるよう、極力中性的になるよう衣装や顔、髪の毛をデザインしています。

ヨンデミーオンラインと子どもたちのつながり

これらをキャラクターデザインだけでなくプロダクト全体に展開することで、ヨンデミーオンラインは実際に「ツールと人」という関係を超えた有機的なつながりを構築し、子どもたちが自分から読書をできるようになるための伴走役・応援役としてそっと支えてあげる存在として、子どもたちの信頼を得ています。

ヨンデミーオンラインへの信頼は、選書精度に対する期待につながり、「ヨンデミーがおすすめしてくれた本なら読んでみる!」というふうに、子どもたちの行動変容に結びついています。

プロダクトデザイナー募集中!!

画像6

Yondemyはまだ創業から2年も満たないスタートアップですが、これらのようなことをデザイナー以外も一緒になって考えています。

しかし、ヨンデミーオンラインはまだまだ成長途中のプロダクトです。
子どものユーザー体験もまだまだ理想からは程遠く、荒削りの状態です。

ぜひ、私たちと一緒に全く新しい「読書を習う」という体験を作るチャレンジをしませんか?
ヨンデミーオンラインが提供したい価値に共感して下さった方、またYondemyの事業に興味がある方は、今すぐ転職をお考えでなくても構いませんので、ぜひTwitterのDMにご連絡ください!

後半はこちら

ここまで、ターゲットユーザーが子どもであることという観点で、どうヨンデミーオンラインと子どもたちの関係を形成しているかについてでした。
後半では、ヨンデミーオンラインがなぜ「習い事」なのか、子どもにとって読書という行為がなぜハードルなのかについてお話しします。↓↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?