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人生にもしも...なんてないけど⑲遺影 母との再会

夕方、やっぱり一生ものの最後の写真になると思うと、あきらめきれず、
デイサービスはお休みの日だったけど、携帯に電話をしてみた。
介護1の時から9年近くお世話になったデイサービス。家庭的な雰囲気で、
折に触れ、デイでの様子を写真に撮ってくれていた。
数年前にもらった写真ですごく母らしい優しい笑顔のものがあって、思わず「これ遺影によいですよね」って笑いながら話したことがあったのだ。

「...あのネガはないですかね?」と事情を話すと、探して明日電話するとのこと。
翌朝、「あの写真はなかったけど、すごくかわいらしいのがあったので今から持っていきます」と。
3枚も持ってきてくれて、どれも母らしくて
「うわ~どれもいいですね!」って心がウキウキしてしまった!

そんなこんなで、万一に備え、父の遺影用の写真を撮っておこうと思いながら、なんか引き寄せてしまってもなと言い出せないままでいる。
よくケンカするし、何かと心配もするけど、まだまだ元気で長生きしててほしいんだな。

母が亡くなって数か月経過した頃、夢に母がでてきたことがあった。
車を運転していて、カーブを上手く減速できないままブンッと勢いよく急カーブしてしまったのに、そばで見ていた地元の人達は”やるのぉ~”って感じにのんきに見てる。
いやいや、こっちは恐々としながらなのに...。           不安で一杯なのに...。

そうこうしていたら、急に目の前にバイクが割り込んできて、急ブレーキ。もうっ危ないなぁとそのバイクを睨みつけたら、バイクはすぐに消え、バイクの荷台だけがどーんと大きな障害物として進行をふさぐ。
「ええ~っ」と憤りと困惑で思わず声を出してしまったら、いつの間にか母が助手席にいて
「お母さんがどかしてくるから大丈夫」
母はさっさと車から降りると通路を開け、また助手席に戻ってきてくれた。一人の不安がなくなり、安心して運転をし始めたけど、ちょっと進んだところで、
「じゃ、お母さんはここで」と車を降りてしまった。
「えっ、一緒に行こうよ」と目的地までの行き方も母なら地元だから知ってるはずだし...と窓ごしに誘っていたのに、いつの間にか自分はバイクにまたがっていることに気づいた。
あれ?一緒にって言ったもののバイクの二人乗りなんてしたことないし、もし母に怪我でもさせたら...と躊躇われ、一人でなんとかなるかなと、不安ながら一人で行こうと決めた。
母は胸元に何か白っぽいものを大切に、両手で抱えるようにしてて、これまでと同様、背中に力強いエールをおくってくれるようにニコニコ笑顔で見送ってくれた。

あれ?
あれ?そういえば、もうお母さんは怪我するとか(死んじゃってるから)そんな心配しなくてよくなってるじゃん?と思った時、目が覚めた。


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