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全てのトラウマが、私の味方だ

 私は急な不安に襲われることがあるが、その中のほとんどがフラッシュバックによるものである。

 過去の嫌な出来事が、ありありと思い浮かんできて、あたかも今起こっているかのような錯覚を起こす。
 その苦しさのあまり、動悸に襲われたり、冷や汗が出たり、時には過呼吸になったりもする。
 そして、辛い記憶が増えれば増える程、フラッシュバックも頻繁に起こる。

 

 心を蝕むようなトラウマ。
 辛い記憶がなく、楽しい思い出だけがあったのなら、もっと明るく暮らせたかもしれない。
 そんな苦しい過去なんていらない、きれいに忘れたい。
 私はそうずっと思ってきた。


 ところが。
 いつの間にか、私はまさにこのトラウマに慰められるようになったのだ。
 苦しい時、辛い時にひょっこり頭を出しては、「きっと大丈夫だよ」とささやいてくれる。


 自分が打たれ強くなった気がする。
 ちょっとやそっとのことではすっかり動じなくなった。

 

 苦しいことに遭うたびに途方に暮れていた私はもういない。
 嫌な過去、記憶達が、全て私の味方になったからだ。
 いつも私を苦しんできたトラウマは、不思議なことに、私に勇気を与えるようになった。


「昔程辛くない。」
「あのどん底に突き落とされた日々も乗り越えられたのだから、きっとこれからも大丈夫。」
「以前は、こうしてああやって解決した。今回もこのように試してみよう。」 
「希死念慮にも勝てた私は、決して弱くはないぞ。」


 振り返りたくない辛い経験をするにつれて、それを乗り越えた経験も増えていったのだ。
 そして、


「どんな困難も、なんとかなる」


という自信もついた。

 

 人生もどんどん楽しくなってきた。


 ようやく、トラウマの存在意義が分かってきた感じがした。

 


 幸せな思い出を、人生を明るくしてくれるエネルギーだとしたら、


辛い思い出は、
そのエネルギーが消えないよう
守ってくれる城壁だ。

 

 心が弱いままだと、どうしても小さな出来事一つ一つに過剰反応し、一喜一憂してしまう。
 よって、心が動揺してしまい、ネガティブの沼にずぶずぶとはまり、確かにあったはずの楽しい記憶もすぐに忘れてしまうのだ。

 

 けど、多くの経験を通して強くなった心は、どんな時でも冷静にいられる。
 しっかりと目の前の現実を認識出来るので、失望したり、投げやりになったりすることはないのだ。
 従って、苦しみが心を侵食してしまうことはない。
 だから、楽しかった過去を忘れることもないのだ。


 幸せとトラウマ。
 一見、これらは正反対のようだが、実は互いに支え合う存在だったのだ。
 あの暗かった過去も、なんか愛らしく見えてくる。

 

 そう思えるようになってから、フラッシュバックもあまり起こらなくなった。

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