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空ばかり見ていた


電車を3つ乗りかえ
坂道をトボトボ歩き
季節の花束を抱えて
会いに来てくれる少女に
僕は何がしてあげられるだろう

君が来る前の日には
いつもモカを200g求め
3本99円のポンジュースを
カゴいっぱい買うことに僕は
いつも何のためらいもなかった

八百屋で奥さんと呼ばれると
君はいつもテレくさそうに笑い
その笑顔はミモザの花が
咲いたように明るかった

ボブ・マーリーの歌なんて
君はわからないと言ったね
僕の好きなものすべてを
好きにはなれないと

それじゃあ君は何が好きで
何になりたいのかと聞けば
自分にもわからないのよと
君はクスッと笑ったね

あの日 最後に君を抱いた日
何かが ちぐはぐだった
君を抱いた瞬間何かが
いつもと違うと感じた

2階の開け放した窓から
見える青空に浮かんだ
白い雲がキレイねと君は言い
どこか遠くを見ているようでもあった

こんなことが前にもあった
初めて君を抱いた時
君はやはり四角く切り取られた
この青空を眺めてそう呟いたのだ

君の中で果てたあと僕は
本屋に行くからと君を
ひとり部屋に残した
いつものことだから
気にも止めなかった

本屋でカメラ雑誌を見て
今月のコンテストもボツだった
ことに大して落胆もせずに
けれど僕はなぜか急な
胸騒ぎがして部屋に戻ると
君は
もういなかった

いつものことじゃないか
けれどそれ以来 君が
僕の部屋を訪れることは
二度となかった

君がいなくなって3カ月後に
カメラ雑誌を手にすると
僕の写真が初めて載っていた
「空ばかり見ていた」

それは君が初めて
僕に抱かれた日
空ばかり見ていた
君の物憂げな顔を撮った
あの写真だった

あの空を君はまだ、覚えていますか

はるらん詩集(風夏鈴、かぜかりん)
「桜色のトンネルで」より

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まだ少し先のお話ですが10月27日(日曜日)
文学フリマ福岡に初出店いたします。

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詩集の他に、るあ&風夏鈴の短編集、
葵ふわるさんの短編集、
ポンズちゃん🐹の写真と、るあが描いた
パステル画の4枚セットのポストカードを、
お品書きに加える予定です。
 ただいま、製作中でございます😅
来月にはチラホラお見せ出来るよう頑張りますので、いましばらくお待ちくださいませ☺️よろしくお願いします😃


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