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雪のひとひら


自分の運命は、自分では変えられない。
気づいたら、ココにいたのだ。
何処へ流されるのかも、わからない。
こんな時に読みたいのが、ポール・ギャリコの「雪のひとひら」です。女性の一生を、雪のひとひらに喩えた美しい物語り。
この作品が日本で初めて刊行されたのは、
1975年の11月ですが、私が本屋さんで手にしたのは、2009年の2月のことでした。

何マイルも遠い空から降りてきた、雪のひとひら。気づけば自分はたくさんの兄弟たちと今まさに地上へ降りてゆくところだった。
それなのに、さっきから感じる、この孤独感は、何なのだろう。

ポール・ギャリコ「雪のひとひら」より

地上に舞い降りた雪のひとひらは、最初は人間の子供たちが作った雪ダルマ☃️の一部にされてしまい、長くツライ冬を過ごすのですが、やがて雪解け水になり大きな川を下りながら、そこで生き生きと働く人々や、水辺ではしゃぐ子供たちを眺めながら楽しい時を過ごします。
雪のひとひらは、水の中で、船が浮かんで進むのを手伝ったりして自分の存在感を確かめていました。
 そんな旅の途中で、雪のひとひらは夫の雨のしずく💧君に出会い子供らにも恵まれて幸せな時を過ごすのですが、ある日、夫が思いがけない事故に巻き込まれてしまいます。
事故でケガを負いながらも、夫のしずくは、
雪のひとひらを、以前と変わらない優しさで包んでくれるのですが・・・

愛する夫や子供たちとの出会い。
突然の事故に遭いそれでも、雪のひとひらに寄り添ってくれた夫の、しずく。
子供たちとの大河での別れ。
自分は何ゆえ生まれ、何処へ帰るのか。   
こんな自分への問いかけは、生きているあいだに、何度も繰り返されるでしょう。

冬になると読みたくなる「雪のひとひら」

私がこの本を初めて読んだのは15年前の2月ですが、私のパートナーが思いがけない事故に遭ってから今年の春で15年になります。
私がこの「雪のひとひら」を読んだのは彼が事故に遭う2カ月前のことですが、この本を読んだ時なぜだか涙が止まりませんでした。
その頃、夫はムリな生活を続けていたので、
どこかで、本の中のしずく君と夫を重ねて事故を予感していたのかもしれません。

彼は事故にあって光りを完全に失いました。
でも、彼は生きることを諦めていません。

人には、どうしても避けようのない運命が、誰にでもあると思うから。
 そうなった時に、自分はいままでどおりの自分で、生きられるだろうか?
相手が変わってしまった時や、今まで通りの生活が出来なくなってしまった時に、本当の自分の生き方が問われるのだと思います。

でも、彼が事故にあって、その日から生活が一変しても、私は後悔するような生き方はしていません。 
だから自分も、その最後を迎える日が来る時まで、精一杯、生きようと思います。
 ポール・ギャリコの、
「雪のひとひら」のように。


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