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【アドラー心理学】子どもの自己肯定感を育む関わり方:ポジティブな子育てのヒント

はじめに

子どもの自己肯定感は、彼らが自分自身を受け入れ、信じる力を育む重要な要素です。親がポジティブでサポーティブな関わり方をすることで、子どもは健全な自己肯定感を築くことができます。今回は、子どもの自己肯定感を育むための方法についてご紹介します。


1.共感と理解

 子どもが感じていることに共感し、理解を示すことで、彼らは自分の感情が受け入れられていると感じます。感情を表現することが奨励される環境を作りましょう。
 また、アドラー心理学を参考に考えていきましょう。アドラー心理学では褒めること、叱ることにはリスクがあり、その代わりに共感することや勇気づけることを推奨しています。ただ、褒める・叱るは絶対にしてはいけない事ではありません。場合によっては褒めることも、叱ることも大事ですが、褒めることにも叱ることにもリスクがあります。

 褒められると、次も褒めてもらいたくて頑張ります。これはとても良い相乗効果のように見えますが、子どもは成長とともに喜ぶものがどんどん大きくなっていき、テストの結果にかかわらず、ご飯よりもゲームやマンガ、お小遣いなど満足するご褒美のレベルが上がっていきます。アドラー心理学ではこれを褒めることのリスクと言っています。

 テストは認められるために頑張るのではなく、普段の勉強の習熟度をはかるための目安に過ぎません。100点だけがすごいのではなく、何点であっても本人がいかに頑張ったかが大切ですね。褒められるために頑張ろうとすることは、動機としては悪いことではありませんが、100点以外は価値がないものになってしまうのは本末転倒です。

 褒める、叱るが駄目なのではなくて、そればかりになってしまい、原動力が「褒められたいから」「叱られるのが嫌だから」になってしまうと、本来の目的が変わってきてしまいます。それでも前に進む力になっている時はいいのですが、だんだん「褒められないからやらない」「叱られるから隠す」になりがちなのが一番のリスクです。

 以下は、子どものテスト結果について母子のやり取りの例です。

〈褒める・叱る〉
 子「ママ!今日テストで100点取ったよ!!」
 母「すごい!じゃあ、今日の夕飯はあなたが大好きなハンバーグにするね!」
 子「わーい!じゃあ、次のテストも100点だったら焼肉ね!!」
 母「いいわよ~!頑張ってね!」

 子「ママ、今日のテスト50点だった…」
 母「なんでそうなっちゃったの?!次のテストまでゲームは没収します!」
 子「はい‥‥(シクシク)」

〈アドラー心理学的な共感・勇気づけ〉
 子「ママ、今日のテスト100点だった!」
 母「そう!頑張ったのね!あなたが嬉しそうでママもうれしいわ」

 子「ママ、今日のテスト50点だった…」
 母「そう。今残念な気持ちなのかな?」
 子「うん。頑張ったんだけど苦手なところが出て‥‥」
 母「頑張ったけどうまくいかなかったんだ。残念だったね。苦手なのに50点も取れたんだね」
 子「次はもっと勉強して頑張る!」

 いかがでしょうか。この例から、褒め方(共感・勇気づけ)について考えてみていただけると良いでしょう。

2.成果よりも努力を評価

 子どもが何かに挑戦している時、その努力を称賛しましょう。成功だけでなく、失敗から学ぶことも重要です。努力を尊重し、成長のプロセスを共に喜ぶことで、子どもは自分の可能性を信じるようになります。

 ただ、気をつけておかなければならない事があります。それは、親の望むことができた時や、何かと比べている時など、条件があって褒めている時は親の価値観や評価が入ってしまっている時があります。そういった褒め方ばかりされてしまうと、子どもは親の顔色ばかりを伺ったり、親の望む行動をしなければ褒められない等と考えるようになり、余計な競争意識をもったりしてしまうこともあります。

 ですので、親御さんがどういった褒め方をアプローチとして実践していけば良いのかをサポートしていけると良いでしょう。効果的な褒め方として以下を参考にしていただければと思います。

①結果ではなくプロセスを褒める
 これは私が不登校生徒を指導する際に最も意識していることの一つです。良いか悪いか、成功したか失敗したかではなく、挑戦している気持ちや姿勢にフォーカスして褒めましょう。「一生懸命取り組んでたね」「たくさん試行錯誤を繰り返していたね」等です。

②具体的に出来たことをそのまま伝える。
 「あなたが頑張っていたことはちゃんと見ていたよ」と言う気持ちが伝わるように褒めましょう。「昨日より1回多くできるようになったね」「今日は時間通りに起きれたね」等です。

3.ポジティブな言葉がけ

 言葉は力を持ちます。子どもに対してポジティブな言葉を使い、肯定的なフィードバックを提供しましょう。否定的な言葉ではなく、できることや良い点を強調することで、子どもの自己評価を向上させます。

 人は誰でも長所と短所があります。日本人は自分の短所を探すことは得意ですが、長所を探すのが苦手な人が多いかと思います。なので、意識的に長所を探し出す工夫をする必要があります。その方法の1つが「褒め日記」です。毎日日記をつけ、その中で必ず1回は自分を褒めるようにするというものです。褒める内容はどんな些細なことでも構いません。「道端に捨ててあったゴミをゴミ箱に入れた」「お手伝いをした」などなんでも大丈夫で、毎日必ず1つは見つけて記入するというものです。これにより、自分の長所に気づきやすくなったり、意識的に褒められるようなことをするようになります。つまり日記を続けることで長所が増えていくことに繋がります。

 「褒め日記」と似たものとして「できたことノート」を作成するという方法もあります。これは、毎日、「今日できたこと・やったこと」を記録していくというものです。勉強や習い事、お手伝いでも、自分がやったこと・できたことだけを記録し、失敗したことやできなかったことなど、マイナスの自己評価につながるような内容は書きません。これにより、折に触れてノートを読み返し、過去の頑張りを再確認することもできます。

4.興味を示し、リスニング

 子どもが話すときには、真剣に耳を傾けましょう。話を聞いてもらえただけで「自分は愛されている」と言うことを実感できるからです。彼らの感情や考えに興味を示し、理解を示すことで、子どもは自分の存在が尊重されていると感じ、自己肯定感が向上します。「あなたのありのままを認めていますよ」「あなたのことを大事に思っていつも見守っていますよ」と言う姿勢につながっているかどうかを大切に、取り組んでいかれると良いかと思います。そういった関わりをすることにより、子どもは親に認められたと感じることができ、自信を持つことができるのです。

 子どもが親に認めてもらいたいという欲求は子どもに限らず人間としての本能なのです。

5.自己決定権を尊重

 子どもには自分で決定する機会が与えられると、自己肯定感が育まれます。できるだけ選択肢を与え、彼らが自分で判断し、責任を持つ経験を提供しましょう。

6.失敗を許容し、学びの機会を与える

 失敗は成長の一環です。子どもが失敗したときには、非難や罰ではなく、一緒にどうすれば良かったかを考え、学びの機会と捉えることが大切です。

7.受け入れと愛情の表現

 子どもは親の受け入れと愛情を感じることで、自分に価値があると感じます。毎日のコミュニケーションや触れ合いを通じて、子どもにあなたの愛情を伝えましょう。笑顔や抱擁は言葉以上に力強いメッセージです。

まとめ
 
子どもの自己肯定感を育むためには、愛情と理解に満ち、ポジティブな言葉と行動でサポートすることが不可欠です。日々の小さな瞬間を大切にし、子どもが自分を受け入れ、成長していく過程を共に歩んでいきましょう。

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