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良いアウトプットには、相応しい準備と熱量が必要な話

展示会に、撮影に、打ち合わせ。

タフだった今週をなんとか乗り切って、
自身への労いとして表参道で髪を切り、マッサージまでした贅沢な週末。

心身スッキリしたところで向かったのはamachi. 23ssの展示会です。

amachi.は前職時代に取り扱いをしていたこともあり、
ありがたいことに、退職後の今も毎シーズン展示会に誘ってもらえています。

amachi.にはシーズン毎に設定された明確なコンセプトがあり、それに基づいて制作されるビジュアル、空間、プロダクトがあります。
そしてそれらが非常に高いレベルで調和し、一つのコレクションを成しているのです。

これまでも様々なブランド、展示会を見てきましたが、
プロダクト以外も含めた、「総合的な表現力」という面では他の追随を許さないクオリティを誇ります。

そんな今回のコンセプトは”波と風”。

風の動きを綺麗に反映させるコットン・キュプラのガーゼ地を始め、“波”と”風”から生まれる「動き」にフォーカスを当て、様々なアプローチで生み出されたプロダクトが一堂に介します。

会場に入って気になったのが無作為に並べられた”穴”の空いた石。
これは、ある貝が自身の巣作りのために石に穴をあけたもので、その後長い時間をかけて波に削られ、今の形になっているのだそう。この石一つ一つにその貝の一生が詰まっている、と思うとなんだかドラマチックですよね。

こうしたシーズンを象徴するようなインスタレーションは毎回必ず仕掛けられており、
「今回はどんな切り口でくるのだろう」と楽しみにしているポイントの一つです。

ビジュアルは先シーズンから写真家の高木 由利子さんが手掛けています。

アマチさんにとって高木さんは兼ねてから憧れの存在だったらしいものの、思い切ってオファーしてみたところ、快諾してもらえたのだそう。

「高木さんとやられてみていかがですか?」とブランドマネージャーに尋ねたところ、

間髪入れずに「すごいですね。」の一言。

「それは何故ですか?」とさらに尋ねると、

「撮りたい絵の為に、その日のベストな瞬間を捉える力が抜群でした。」とのことでした。

事前に共有された、撮りたいビジュアルイメージがあっても、時間帯によって自然光の入り方や、風が吹くタイミングなど、自然環境は思い通りには動いてくれません。変化する環境の中でベストなタイミングを掴む”運”と"技術"、その時を逃さない”集中力”などが問われるわけです。

高木さんが世界を飛び回りながら積んできた圧倒的な勘と経験値があってこそのビジュアル制作。

言うまでもなく、仕上がりは抜群のモノでした。

仕上がった写真は高木さんによって”和紙”に印刷されて納品されます。タイトルには手書きのメッセージ。

こういった手触りのあるアプローチがあると、
単に目で見るだけでなく、ビジュアルを立体的に捉えられるし、作品自体の奥行きが増していきます。

撮影前も本番も、高木さんからは「こうしてみてはどうですか?」と積極的に提案があったそう。

“良い写真が撮りたい”というピュアな想いから、任された以上のことを考えて提案する。

華やかな実績がある人こそ、こうした仕事の基礎的な部分がしっかりと備わっているんだと思います。

ちなみに今amachi.は、高木さんのビジュアルの他に、ヨーロッパを何ヵ国か渡り歩いて、ブランドムービーの制作にも取り組んでいるのだそう。

「そうそう、この熱量と行動力だよな~」と同業者としてリスペクトを抱きつつ、

以前、ALIGNの撮影で北海道ロケの提案を受けた際、ヒヨってしまった自分が情けなくなりました。

amachi.の展示会に行くと「モノづくりってやっぱこうでないとな~」と毎度思わされます。

コンセプト、空間、ビジュアル、接客、
ブランドを構成するあらゆる要素から、高い熱量が伝わってくるし、「普通そこまでやらないでしょ」って基準値を簡単に、大きく超えてくる。

展示会ではこの妥協なきスタンスを肌で感じられるし、背筋が伸びる思いになります。
「このくらいでいいや」はお客さんに見透かされるし、良いものにはそれなりの準備と思いが必要だということを再認識させてくれる貴重な場所。

気になったショーツを個人オーダーし、明日からも仕事頑張るぞ~、と自分に気合を入れたところで、帰路につきました。

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