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「難関校の算数で高得点を取る子がやっている勉強法」?

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏が、その著書『難関校合格のすごい勉強習慣』で解説、というネット記事を読んでいて、「おや?」と思ったことがありました。

念のためですが、当Noteでは、親として関与した中学受験をテーマに情報を発信しているものであり、全て個人的な感想です。

西村氏の話しの要点を紹介しておきます。

・難関校の算数で高得点をとるために欠かせないのが、図や表をパパッと手早く書ける力。
・「自分の手で書いて正解できた!」という経験を日々の学習の中で積み重ねていくことが大切。
・基本的な処理能力(漢字や計算など)を身につけるトレーニングに相当する、「スピーディー学習」と、「いつもどおり」の安定した行動をとらせるためのトレーニングにあたる「スロー学習」(実際に手を動かしながら思考する学習)の両方大事。
・「問題文が長いものは難しく、短めのものはそれほどでもない」と勘違いをしている親は多い。
・むしろ「スピーディー」に解けそうな問題こそ試行錯誤すべきで、手を動かせば「確実に解ける方法」が本番で降りてくる。
・「書く・スロー学習」では、問題文をヒントに自分の手を動かして試行錯誤すること。

変なことは書いていません。そうかなと思います。

書く・スロー学習」の例として、算数の入試問題が紹介されていました。

こんな問題でした。

【問】
4つの整数があり、3つが偶数、1つが奇数。
4つの整数のうち、2つずつの和が、64、49、57、54、46、39となる。
①3つの偶数の和はいくつか。
②4つの整数の最大の数と最小の数の差はいくつか。

有名中入試問題

<説明>
大きい順にA、B、C、Dとして、2数の和を大きい順にたてに書いて表の形にする。

4つのそれぞれの数字が偶数か奇数かを手を動かして調べていく。

自分で工夫しながら書き込むことで次の一手に気付く。

「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤の「スロー学習」が習慣づいていれば、本番でもいつもどおりの安定した行動をとることができる。

確実に正解にたどり着ける方法が、本番で頭の中に降りてくる。

本当にそうなの?

この問題で表にして書き出していくのは…。

自分だったら、2数の和のうち、偶数の3つ(64、54、46)を足して2で割って最初の問題①の答えを出します。

偶奇性から、(64、54、46)は、3つの偶数から2つを選んだ組み合わせになるのが明らかだからです。

この①の答えと、64、54、46との差をそれぞれとれば、3つの偶数を特定することができます。

あとは残りの奇数がわかるので、大小関係をみて②の答えを出せます。

さすがにこの問題で試行錯誤はないのでは…。

まず手を動かして図や表を書いてみる、というのは図形問題では鉄則だと思いますが、整数問題では頭の中で考えた方が早いケースが多いです。

現在中高一貫校に通う、我が家の算数小僧にも聞いてみることにしました。

小僧さんは、問題①は、64、54、46を全部足して2で割って、82と出していました(それぞれ半分にしてから足していた)。

やはり同じやり方でした…。

問題②は、64から46を引いて、18と出しました。

「何でそうなるの?」

一番大きい数と二番目に大きい数の和が64(問題文にある6つの数の中で最大)、二番目に大きい数と一番小さい数の和が46(6つの数の中で二番目に小さい)だから、両者の差を取れば最大の数と最小の数の差がわかるよ」

気が付かなかった!

全部の数を求める必要はなく、しかも速い!

中学受験算数の勉強法はこれが正解というものがありません。

経験上は、何か一つの方法・やり方で万事通用するものではない、ということは言えると思います。

ちまたには様々な勉強法が溢れていると思いますが、本に書かれているようなものを取り入れる場合には、注意したほうがいいと思います。

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