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新世紀マーベラスnovel episode1(41)

「やらせないって」
追い掛けようとするメアリーの脇腹をアマレスが蹴りつけた。
「ぐ……っ」
「そりゃこっちのセリフだ」
メアリーを蹴り飛ばしたアマレスがさらに迫ってきたレイと切り結ぶ。
「くっ」
「おっとぉ、油断も隙もねえなぁ」
「エマ、あの娘を止めろ!」
言われる前に動き出している。
「はい! アイナちゃん、ごめんなさい。炎熱よ、疾く敵を穿て――フレイムピアサー!」
エマの詠唱とともに複雑な軌道で振った大杖から幾重にも紅い熱線が放たれる。
空気を焼きながら高速で飛ぶそれに気づいたアイナが咄嗟に防御態勢を取る。
「゛あぁ――っ」
あわや教導長の背中に追いつかんとしていたその体を光線が貫いた。
放った魔法は弾速が速い代わりに威力は低い。だがエマの魔力で強化されたそれは軽くないダメージを与えたはずで、証明するようにアイナが崩れ落ちる。
「う、ぐぅ……」
その様子を見ていたアマレスがエマを見た。
「面倒だが放っておくわけにゃあいかねえなぁ」
両手剣を鋭く振り抜き、レイの剣を弾く。
アマレスは地面を踏みぬくと、一息でエマへと飛びかかる。
「ぐっ……、エマ!」
腰を落としながら接近してくるアマレスを見据えながら、エマは地面に円を描くように手のひらを振った。
念動によって砂埃を被せて隠していた魔法陣が姿を現す。
「クレイランスか」
「! ――クレイランス!」
アマレスが急制動したその目の前で四対の槍が空を突く。アマレスが視界から隠れてしまった。
 ――まずい。
咄嗟に後ろへ飛び退くが、それよりも速く土の槍ごと刃に薙ぎ払われる。
「あ――ぐっ」
転がる。
痛みを堪えながら手で傷を探ればぬるりとした感触。
「わりいなぁ」
追い縋ったメアリーの剣戟を捌きながらアマレスがニヤリと笑った

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