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富士山を愛せますか

10月も後半に板になり、冠雪もはじまった。
山じまいしているのに登ってしまうツワモノや、物知らずな遭難人。この時期には二種類の富士登山者が登場する。
山じまいしたのだから、登りませんという良識者の判断は正しい。
でも、登るツワモノもいる。ツワモノは登山技術もレベルも経験値も撤退判断もできる方々だから、そういう人たちの投稿や写真は決まって好天。とても参考になるし、行った気にもさせられて嬉しいです、工場長さん(ノボルンジャー)!

しかし

そういう写真を見て勘違いする、国内外からのヤバイ物知らずな方々も多い。これもまた、現実だ。

2012年8月18日、まだ世界遺産に登録される前の富士山もカオスではあった

ここで、皆さんに確認。
富士山シーズンの入山料(保全協力金)は、任意でひとり1000円となっている。これ、払っておりますか?
たぶん、綺麗に2分されますが、少なくとも「払わない」方のご意見の大半は山が好きでもない観光客感覚で、あらゆるサービスを享受されることを当然と考えている「俺はお客様だ」気分なのだろうと思う。
入山料の総額。
過去最高は2014年の約1億1,440万円。最低は2021年の約3,538万円。これは主にトイレの新設・改修や救護所の拡充など、富士山を登るうえで本当に必要な保全目的に使われるものだ。任意で支払わない者も、当然これの恩恵を被っている。

ただの寄付金と同じなのに、なぜ金額の安い高いとか払えーとか、そんな無駄な議論をしているのだろうか。これって善意による寄付金だろ。支払いを強制するって、おかしくねー?

これが払わない人の意見の主流。

こういう場所での価格設定に否定的な人の声も、入山料拒否の人が多い
人件費がどうしても加味されるのにね。ブルドーザーが入っても、歩荷が必要な場合だってある。

そういう人は、絶対トイレの使用料にだって異議があるし、踏み倒しているよね。

ボットンじゃないということを考えて御覧

「オーバーツーリズム」
「弾丸登山」
これの危険性を理解しないから、みんな強行する。そして、惨事にいたる。
富士山が2013年に世界文化遺産に登録された際、審査に関わる非政府組織(NGO)の国際記念物遺跡会議(イコモス)は、環境保全のために登山者数を管理するよう求めた。ところが登山や観光で山梨県側の5合目を訪れた人は、大幅に増加している。
「最悪の場合は、世界文化遺産の登録を抹消される恐れがある」
実際、開発などで環境が破壊されたと判断され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に遺産登録が取り消された例は英国やドイツ、オマーンで実際にある。また、存続が危ぶまれる場合は「危機遺産」に指定されてしまう。観光客が殺到したイタリア・ベネチアが候補に挙がったこともあった。

気軽にバスで5合目に行かないで、下から登って御覧。富士山の有難みはそこから学べるよ。

正直なところ、富士山は信仰の対象でもあるし、ゴミを散らかしても平気な輩が踏み込んでもいい場所じゃない。
登山者を制限する意見もある。半分は、賛成だ。制限させるためには、途中の山小屋に宿泊する条件を付与すれば弾丸登山を抑制できる。勿論、入山料義務という関所が絶対条件になる。ただし制限をきっちり出来ない事情もあるだろう。山小屋は公共施設じゃない営利企業だから、そんなもので採算が取れる訳がない。倒産閉鎖すれば、登山者枠が減ってしまう。

富士山登山鉄道などという案を考え出す輩もいる。根本的なことをいえば、休火山にそんなものを設置して、大丈夫か?意味あるか?富士山が火山だという意識さえ持っていないのではないか?
御嶽山の噴火、あれの比じゃないのが富士山なんだけど……。

忘れたか?

「入山料徴収は登山抑制という規制につながる。規制を強化するだけで保全はできない」
そういう声も間違ってはいない。でも、何か大事な足元を見失っているとも考えられる。この問題には正解が、きっとすぐに見出せないし、答えはすぐに次の疑問につながっていくものだろう。

私見。

あくまでも勝手な俺の意見だ。強要はしない。

①入山料、義務化。山小屋の予約証明書をスマホでも紙でもいいから発行してもらい、それを所持していることが絶対条件。金額は5,000円くらいでいい。値上げも視野に置く。
②入山届、義務。登山計画書も添付記載。
③上記2件の免除事案:吉田5合目の馬で途中までは、勝手に先へ行かぬ対策のうえで。軽装はここまでだ。
④不人気の登山口については、入山料が高額につき山小屋のトイレ使用料無償。ただし予約証明書必須。
⑤強引に押し入り無償弾丸登山を敢行した者には、自然公園法83条3号の適用(6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる)。こんなリスク冒してまで登りたい奴は本物の馬鹿。入山料の方が安い。

ただし受け容れる側にだって、問題はある。集客で収益を挙げようとすれば規制はザルになる。


たしかに、こんな景色は誰だって観たいよ。観たよ。よかったよ。

でも、自分だけよければいいという考えはおかしい。
そう思うだけ。
感動は分かち合いたいし、次の、その次の世代まで残さなければいけない。規制って、本来そのための縛りであるべきと思うんだ。

嫌なら麓から見上げてソフトクリーム食べてりゃいいのではないでしょうか。

今回、やや暴言ですが。
日本人にとって富士山は象徴。ゴミも自分で持ち帰ることができない人が多い中、ちょっと自由すぎると不安を隠せない。
富士山、怒りの噴火だけはご勘弁である。