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Photo by
elkbearr
ひとがた
私は薄い陶器の人形だ。
中には何も入っていない。
からっぽ。
どこにも穴はあいてないから、中に物を入れることはできない。
ただの冷たい洞窟が、陶器の皮膚によって私の形をとっているだけ。
貯金箱のように、叩けばすぐに粉々になる。
弱くて脆い。
私は散らばった破片となって、そうしてようやく解放されるのだと思う。
私は使い古された布の人形だ。
中には、押し潰されて萎んだ綿が入っている。
ぺたんこ。
どこも汚れきっているから、どんな顔をしているのかも分からない。
ただの疲れ果てた綿が、下手くそな縫い跡ばかりの布によって私の形をとっているだけ。
ティッシュのように、裂けばすぐに散り散りになる。
弱くて脆い。
私はただの布切れと綿屑となって、そうしてようやく解放されるのだと思う。
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