【創作ショートショート】ブーメラン発言道
何かを極めるのは難しい。
しかし、何かを極めなければ生きていけない環境では、そんなことを言っても仕方ない。
木登り、ゲーム、芸…みんなが知っているジャンルには、すでに天才がいて、太刀打ちできない。
逆にマイナーなジャンルなら…例えばオレンジを皮ごと早食いするとか?
だが、オレンジを手に入れるのも楽ではない。
彼はしばらく考え、ある案を思いついた。
時間もないし、さっそく実行することにした。
目の前にいる白衣を着た人から質問された。
「今の生活はどうですか?」と。
俺は答えた。
「食って寝て、だけで生きられる生き物は、生きている価値がないんじゃないか?」と。
また質問された。
「このテスト、どうだった?」
俺は半分くらいはわからなかったような気がするが、あえて答えた。
「そんな簡単なテストで間違えるやつ、頭がどうかしてるよ。存在価値がないんじゃないか?」
「こんなブーメラン発言をするような猿、珍しくないか?今日の治験に使うのは延期しないか?」と白衣の集団は会話していた。
狙い通りだ。
俺は、脳波を読み取り発話する機械が作動しないように注意しつつ、心の中でガッツポーズをとった。
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【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!4/23|たらはかに(田原にか)|note
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