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鉄道員のお財布事情…

皆様、こんにちは。
現役鉄道員のKです。

前回の記事で、乗務員の給与面の待遇についてチラッと言及したのを覚えている方はいらっしゃいますでしょうか?

↑前回の記事はこちらになります。まだ、読んでないよ~、って方は是非こちらもご覧ください!

今回は鉄道員の「お財布事情」について、私の経験に基づいてお話していこうと思います。 


・駅係員の諸手当

鉄道会社に入社して、最初に配属となるのが「駅」です。駅での勤務は、朝出勤して翌日の朝まで勤務する「泊り」が基本となります。そのため、一勤務につき「宿泊手当」というものがつきます。また、深夜・早朝時間に勤務していた場合「深夜手当」というものがつきます。
この他にも会社によっては諸手当がある所もありますが、大体この「宿泊手当」「深夜手当」がメインとなります。

・乗務員の諸手当

乗務員は駅とは異なり、泊まり勤務と日勤勤務が混在した勤務体系となります。泊まり勤務時には「宿泊手当」、早朝・深夜時間帯は「深夜手当」がつくのは駅と同様です。
この他に乗務員に一律に加算される「乗務手当」(ない会社も多いです…)等、各社それぞれの実情に応じた手当が支給されます。

・いわゆる「時間外」について

ここでは「時間外」に関するお話をします。駅係員も乗務員も共通ですが、当然自分が所定の休みの日に誰かの代わりに仕事をすれば、時間外手当がつきますし、勤務日でも明け番からそのまま引き続き勤務する場合も時間外の手当がつきます。

また、人身事故といった輸送障害が発生した場合や、担当列車が遅延して休憩時間か削れてしまった場合も勤務した分の時間外手当が支給されます。

(ちなみに、以前勤めていた会社はこの辺りがいい加減で、闇に葬られた時間外もそこそこ存在します…。これは辞めた今でも根に持っています。)

・鉄道員って「稼げる」のか?

ざっくりと鉄道員の諸手当の話をしてきました。ここまで読んだ方は「勤務するだけで色々手当もつくし、鉄道員ってかなりお給料もらってるんじゃないの?」と思われている方も多いかも知れませんよね。

確かに勤務しているだけでもらえる手当もありますし、巷の平均年収ランキングとかでも鉄道会社ってそこそこ高い年収額が出ていたりするので、そう思われる方も多いかもしれません。

しかし、先程の質問に対する私の個人的な答えは「YESだが、NOである」です。

「うまい話には訳がある」とはよく言ったもので、この裏側には様々なカラクリが隠れているんです。

・鉄道員のお財布事情の真実

まずそもそもとして、我々は「基本給がものすごく低い」です。
会社にもよりますが、大卒で現業職(エキスパート職なんて呼ばれたりもしますね…)の初任給が20万円に満たない大手私鉄もざらにあります。地方に目を向ければもっと低い初任給の社局も多いです。
これについては、鉄道会社側が「係員の基本給が高いと、お客様からの風当たりが強くなるから云々」などと考えているからだという話があったりなかったりします。
(人の会社の従業員の給与額に対して、ガタガタ外野が騒ぐこと自体おかしいんじゃないかと思いますが…)
そのため、何年も運転士をしている方でも手取りが20万円以下という方もざらにいます。
運転士って国家資格なんですけどね…。

また、これも鉄道会社では一般的なのですが、「駅係員よりも乗務員の方が、給与は下がり」ます。
先程説明した通り、乗務員は泊まり勤務と日勤勤務が混在した勤務体系です。ということは、毎回泊まり勤務の駅係員と比べて諸手当がつきにくくなります。

また、時間外についても駅より乗務員の方が割に合わないことが多いです。駅の場合、休日出勤すると休憩時間を抜いた分が丸々時間外として計算されますが、乗務員は休憩時間以外にも待機時間や、終点駅での折り返し準備の時間なども抜かれるため、体感よりも時間外がつかないケースがほとんどです。

優劣を付けるつもりは一切ありませんが、人名を直接預かる乗務員の方が給与が下がるとなれば、現役の乗務員のモチベーションは低くなりますし、新たに乗務員を目指そうとする人も減ってしまうのが現実です。
(実際、駅の方が稼げるからという理由で乗務員に上がらない同僚を何人も見てきました。)

こうなると、生活のかかっている乗務員が取る手は一つです…。
そう、「時間外労働をとにかくしまくる」ことです。
実際、鉄道員で毎月の手取りが高い方もいますがそんな方は大抵、法令スレスレの時間外労働をしています。
法令スレスレの時間外労働をしてはじめて、人並み以上の給与を手にしているんです。

時間外労働といっても、一般的な社会人のそれとは違い、明け番からそのままもう一泊泊まり勤務をする、休日を潰して泊まり勤務をする…等、まさに「プライベートと健康を完全に蔑ろにして」勤務しているのが現実です…。
皆さんが普段何気なく乗っている電車の運転士さん、車掌さんは下手すると何日も自宅のベッドで寝ていないかも知れません…。
だってそうしないと、生活していけないんですから…。

先程、私が書いた「YESだがNOである」の意味、わかっていただけたでしょうか?
 
人の命を預かり、時にダイヤが乱れれば罵声を浴び、カスハラの被害にもあって、休みもままならない。こんな待遇では割に合いません。

そのため、より待遇のよい同業他社に移ったり(私もそうです)、さらには鉄道に見切りを付けて異業種に転職する方が後を絶ちません。そして、さらに人手不足に拍車がかかり、負のスパイラルに陥っていく。これが鉄道業界の現状です。

はっきりいって、これは「鉄道」というものに対して「自助努力」という言葉でこれまで放置してきた「行政」と、当たり前の存在だから故に我々を雑に扱ってきた「一部のモンスター利用客」のせいだと私は思っています。

・【最後に】なぜ、私が「note」を始めたのか

最後に、私がなぜnoteを始めたのかをお伝えしたいと思います。

元々、自分のこれまで経験してきたことを形に残したいという気持ちがありました。
加えて、昨今様々な話題で鉄道が取り上げられる中で、「違う、そうじゃないんだ」と思う機会が多くありました。

皆さんが普段利用したり、ニュースで見聞きする鉄道業界の話を、違った目線からお伝えしたいと思ったのがきっかけです。
また、普段利用されている皆さんからは見えない裏事情をお伝えすることで、私達の現状を少しでも知ってもらえたら幸いです。

今後もこれまで経験してきた事例や、鉄道に関する時事ニュースなどを積極的にお伝え出来ればと思いますので、よろしくお願いいたします!
(鉄道業界への就活・転職に役立つようなコンテンツも今後作成できればと考えております。)


☆私のページでは、鉄道業界を巡る時事問題や、私の体験談といった鉄道業界の裏事情、さらには鉄道業界を目指す方向けのお話などを順次掲載したいと思っています。
 もし、「こんな話題を聞いてみたい!」というテーマがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!よろしくお願いいたします。








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