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カリスマはなるものではなく、呼ばれるもの。<部下の個性の見つけ方 その3>

「なんで私をリーダーにしたんですか?」

新しいチーム編成をすると時々、私に後輩達が意見してきます。

「仕事でしょ?上司からの指示に従えないの?」

そう思う方もいるかもしれません。
見方によっては、簡単に部下から物良いされる組織なんていいとは言えないと
思われる方もいるでしょう。それはそれで結構です。

何故なら半分私自身も思います(笑)
でもメンバー全員がなんでも意見を言える様なチームを私は目指しているので
「私の最終決定には従う」というルールの中での異論であればOKなのです。
そこはそこでジレンマがあるのですが、それはまた別の回に。

話を戻しましょう。

「リーダーになりたくない」と私に言った後輩にこう質問しました。

私「なんでやりたくないの?」

後輩「私はリーダータイプではないのをご存知でしょう?」

私「君の考えるリーダータイプってなに?」

後輩「チームメンバーを引っ張り、ビジョンを出して・・・とか」

私「ちなみに俺は君の考えるリーダータイプに当てはまってるかな?」

後輩「全てではありませんが、そうだと思います。」

私「全てではないのが残念!(笑)だけど、前任者の方は俺と同じタイプだった?」

後輩「あ、全然違いますね。こんな感じで反論させてくれない雰囲気でしたし、
   なんでもできる人でした。あ、先輩がなにもできないというのではなく!
   逆に先輩は自分ができないことを把握しているので部下を活かすのが
   上手いですね」

私「じゃあ、もう一度聞くけど、優れたリーダーってなに?」

後輩「わからなくなってきました。自分が勝手に作ったリーダーの
   イメージなんでしょうか。」

私「というか、リーダーのミッションてなに?」

後輩「結果を出す為です。」

私「そうだよね。今、君が話してくれたリーダーのイメージが仮にあってたとして
  それが目的なのかな?ビジョンを熱く語って、皆を引っ張るみたいな。」

後輩「いいえ、手段ですね。」

私「じゃあ、リーダーのイメージなんてどうでもよくない?結果出せば。
  君の得意技はなんなの?」

後輩「調整役ですかね。メンバーの。アイデアを出すとか、ビジョンを出すとか自分は得意じゃないんです。」

私「じゃあ、調整役のリーダーでいいじゃん。足りないものはメンバーの力を
  借りればいい。アイデア出しの得意なメンバーをブレーンにして、
  ビジョンを決めればいいんじゃないの?」

後輩「あー確かに、、、やってみます。」

私「自分の能力を理解してるのなら、今度はメンバーの特性はなんなのか
  把握してみれば?わからないなら、本人と面談したり、俺とか他のメンバーに
  聞いてみるのもいいかもね。そこで君が思うリーダーとして必要な特性
  とやらを他のメンバーに充てればいい」

<カリスマリーダーという偶像に踊らされる、昭和の管理者達>

「リーダーはね、部下に舐められちゃいけないんだ」
「部下に舐められたら組織を統率できなくなる。だからミスをしてはいけない」

前任者に教わった言葉です。
そしてそれが私にとって脅迫観念でした。

私が社会人として学んだことがあります。
それは、「憧れのあの人にはなれない」ということ。

人間それぞれ、得意・不得意があるにも関わらず、
憧れのあの人になろうとして失敗します。

リーダーの定義もおんなじです。
自己啓発本を読んで、歴史的なカリスマリーダーの人物像から
リーダーとはこうあるべきと1つの正解にしてしまう。

また、「今までの上司がこうだったから」とリーダーの在り方を定義する方も
多いですね。「なんでもできるリーダー」というやつです。

でもそこにはデメリットがある。
結果を出せても、部下が育たないということ。
昭和という時代は少数のカリスマがいれば良かった。
カリスマの指示に従えば、「企業成長」という正解があったから

でも国の成長が止まった今、
令和はメンバー皆が考えなくてはいけない時代なのです。
それに即したマネジメントをしていかないといけない。

部下にリーダーを任せるというのは、単純に責任感を持たせるとか
そういうことではなく、「リーダー」という自身の固まった価値観を破壊させ、
そのメンバー達にも「色んなリーダーがいて、チームによって役割が変わる」ということを経験させたいのです。

自分がリーダーになった時、どうメンバーを動かすか。
それがチーム全体の成長につながります。

チームのリーダーである私にとって、この施策はメリットだらけです。
第一は、「リーダーの苦労をメンバーがわかってくれる」いうこと(笑)
第二はリーダー視点を持つことで、「最終的な判断はリーダーがする」という
ことを理解いただけるということ。意見を好きに出しつつも、組織統制を保つことができるということです。

そうそう、その「私はリーダーになりたくない」と言った後輩ですが
私の異動後に後任のチーフマネージャーとなり大活躍しましたけどね(笑)
辞令交付時に私が後輩に

「あの時、リーダーなんてやりたくないって言ったの覚えてる?」
と聞いたら

「ちょっと何言ってるかよくわかりません!」
と誤魔化されたエピソードでした。


前任者がリーダーの時は、前任者なりのやり方でチームを作った。
私は私なりのリーダー像を作り、チームを作りました。

そして後輩も、後輩なりのリーダー像を作り
彼のチームを作ったんです。

それでいいんです。
カリスマはなるものではなく、他人から呼ばれるものだから。


次回は個性の見つけ方 最終回。「個性をサービス化する」のエピソードをお話しします。

長文ご覧いただきありがとうございました。




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