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変な夢を見た

 どうやら自分はタイムループをしているらしい。その確信もあった。さまざまな世界線の記憶があり、それなりに楽しんだ記憶があった。
 彼氏のぽんもそうらしい。ただ、彼は昔、凶刃に刺され亡くなったことがあるらしい。

 ケーブルカーに乗り、温泉街に向かっていた。彼が乗車券を買ったとき、ふとある人物に気づいた。
 「奴だ」
 30代前半の中肉中背の男。身長は165cm前後で、アトピーなのか赤ら顔だった。あの殺人者が現れたのだ。この世界線でもぽんを殺すのかもしれない。
 「変態だ!」と僕は叫んだ。変質者の間違いだった。
 ぽんは逃げた。
 勇敢なケーブルカーの職員が殺人者と対峙した。殺人者が包丁を振り回すが、職員はそれをいなすが、時間の問題でやられてしまうかもしれない。
 僕は手元にあった木製の椅子を手に取った。小学校に置いているような頑丈な木の椅子だ。僕は椅子の背をもち、殺人者に椅子の脚で牽制した。
 殺人者も怯まず、包丁を振り回す。僕は椅子の脚を手に持ち、上段に振り構えた。そして椅子の背を相手の頭に振り下ろした。確かな手応えがあった。


 そして、目が覚めた。
 「なんや、この夢」
 夢だった。奇妙な夢。僕はあまり夢を見ない。それにしても奇妙で現実感のある夢だった。
 夢は現実の擬似的学習だという説がある。つまり、現実にはできない出来事を擬似的にシミュレーションするのだ。
 「こんなことおきねーだろ。アホくさ」
 そして、トイプードルだが毛が短く刈られてよくわからない犬になったけんぴを抱き、寝ようとした。犬の体温は高い。すぐに暑くなって犬を離した。

 よく考えると、寝ている間に別の世界線に行っていたのかもしれない。そこでループ条件を満たしたから現実に帰ってきたのかも。
 そんなわけないよね。

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