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女囚さそり 第41雑居房(1972)

女囚さそり 第41雑居房(1972、東映、93分)
●原作:篠原とおる
●監督:伊藤俊也
●出演:梶 芽衣子、白石加代子、荒砂ゆき、伊佐山ひろ子、八並映子、賀川雪絵、石井くに子、渡辺文雄、室田日出男、堀田真三、小松方正阿藤 海、田中筆子、小林稔侍、笠原玲子、戸浦六宏、園かおる

『さそり』シリーズ2作目。

前作は君が代からのスタートだったが今回は三味線。

シュールという表現が安っぽくなるほど、情念とか怨念が込められており、仮にリメイクしたところでこれは再現できないだろうなと思う。

白石加代子の存在感は物凄く、若干コミカルな面もあった前作とは違い、不気味で奇怪の一言に尽きる。

カメラワークも相変わらずグルングルンと動き回り正常な視点を保つことができない。

松島ナミの台詞もたった二言に激減し、手錠の鎖で看守を絞め殺す荒業も繰り出し、凶悪性が増している。

『第41雑居房』というタイトルはついているが、採石場での労働の帰りの移送車から脱走した女囚7人での逃避行がメインとなる。

そもそもなんで採石場?というのもヘンテコだが荒野をケープまとった女たちが走る姿は寂寞な無国籍感を表していて、もはや日本という国からも抜け出そうとしているように感じる。

野犬を襲って食うところまではよいとして、その後の老婆のシーンは一体何だ!??

もう女囚ものとかいうジャンルを超越し、スピリチュアルホラーというか、この世に残存する絶望と不幸に陥れられた女の怨念や呪いの全てを松島ナミら女囚たちが背負いこまされ、自身たちの過失を通しその業を清算させるという宿命を孕んだストーリーになっている。

それにしても終盤の黒装束ルックは相変わらずカッコいいが、復讐を果たしたと思っても刺した署長がなかなか死なない!

もうドリフのコントかと。

最後の義眼ポロリはもう笑わずにはいられなかった。

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