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王手飛車取り(1956🇫🇷)

原題: LE COUP DU BERGER(1956、フランス、28分)
●脚本:クロード・シャブロル
●監督:ジャック・リヴェット
●出演:ヴィルジニー・ヴィトリ、エティエンヌ・ロワノ(ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ)、ジャン=クロード・ブリアリ、アンヌ・ドー

ソフトとしてはIVCから出ている『美しきセルジュ』のDVDに併録されている。

『美しきセルジュ』同様ジャン=クロード・ブリアリが出ているが一応主役はヴィルジニ・ヴィトリ演じるクレール。

この女優が衣装も含めてかわいい。

クレールが愛人のクロード(ブリアリ)に毛皮のコートをもらうが、夫に気づかれようにどうやって自分のものにするか、という話。

なぜか南米のヒバロ族の干し首の話を引用しながら、これが恋人の証だと言って毛皮のコートを渡すクロード。

もらったプレゼントを「自分で買った」では怪しまれるのでどのようにして手に入れるか、その答えは駅の預かり所に預けるというもの。

預かり証をタクシーの中で拾ったということにし、興味本位でそれを取りに行って偶然手に入ったという形にしたいというわけだ。

できれば自分で預かり証を持っていくのではなく夫に行かせたいのでここでなんとか粘るクレールがかわいい。

無事、夫に行かせることに成功。しかし持ち帰ったかばんに入っていたのは安物の別物のコート。

何かがおかしいと頭を悩ませるクレールはクロードのアパートへ。

そこでなんだかんだあって、もういいわと言って別れることになってしまった二人。

その後、ホームパーティーのシーンがありここで若い頃のトリュフォーやゴダールが出ている。ちなみに若い頃のゴダールはウディ・アレンに似ている。

そして来客の一人のとある女性が毛皮のコートを着ていたのを見て、クレールは全てを察したのだ。

かばんの中身を夫が入れ替えていたということ。そのコートをその女性に与えたということ。そしてそのことを追求してしまうと自分の不倫もバレるので何も言えないということ。。というところで映画は終わる。

脚本はシャブロルで監督がリヴェット。助監督にはジャン=マリー・ストローブ、キャストにはブリアリ、『唇によだれ』のジャック・ドニオル=ヴァルクローズがいて、カメオ出演でゴダール、トリュフォー。この小品にヌーヴェルヴァーグの大物が勢ぞろい。

マンチェスターでのセックス・ピストルズのライブにジョイ・ディヴィジョンのバーニーとフッキー、モリッシー、トニー・ウィルソン、ハワード・ディヴォード、マーク・E・スミスらがいたという逸話みたいな。

そんなヌーヴェルヴァーグの嚆矢となったという歴史的トピックを別にしても単純に話もよくできていて、短編映画として観る分には十分すばらしい。


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