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美しきセルジュ(1958🇫🇷)

原題: LE BEAU SERGE(1958、フランス、99分)
●脚本・監督:クロード・シャブロル
●出演:ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォン、クロード・セルヴァル

ヌーヴェルヴァーグ期の作品であるが、悲愴で閉塞的な雰囲気などどちらかというとネオレアリズモみたいな印象も受ける。

キャラクターがやや類型的だったり音楽が大仰だったりと古い感覚は否めず、『勝手にしやがれ』みたいな「今観ても斬新」という感じはない。だから良くないというわけではないですが。

映画はクルーズ県サルダンで撮影されたと冒頭のクレジットで説明される。

病気療養で訪れた割には主人公がたばこを吹かしていたりと(時代的なものはあると思うが)どことなく余裕が漂う。

それよりもとにかくやっぱりベルナデット・ラフォンがかわいい。

上目遣いの感じとかが一瞬佐々木希に似ているような、透明感と小悪魔感が共存しているような瞳の演技がすごく印象的。

基本的にはオールロケで進むこの映画、フランソワ、セルジュ、妻、その妹マリー、姉妹の老父グリモー、等登場人物は狭い村内の人物関係に限られているが、サッカーやローラースケートなどをする子供たちが背景に映り込むという場面が繰り返される。

もう昔とは違う場所にいるフランソワとセルジュ、それと対比させる意味で子供時代の純粋さというのを幻のように表現する意図があったのだろう。

ダンスパーティーの後セルジュに殴られたフランソワが絶望する横顔に雪がディゾルブしていく場面はなんだか中原中也の一節「汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる」を思い出す。

DVDの規格はいくつかありHDマスター版もあるようですが、自分が所有しているのはIVCの2006年版でジャケットがシンプルな方。ジャック・リヴェットの『王手飛車取り』が併録。

さらに山田宏一、蓮實重彦、トリュフォー、ゴダールらの筆によるリーフレット(22p)が封入で、なかなか読み応えがあります。


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