エッセイ : 干し柿 日本が世界に誇れるドライフルーツ

フォロワー様にご連絡させて頂きましたが、僕は
18日と20日の2日間noteをお休みしますが、
これは、僕が母の実家の干し柿作りの手伝いをするためです。

母の実家は長野県の南の地域、下伊那と呼ばれる地域にある。 
ここで作られる干し柿は市田柿というブランド名を持っている。市田柿と呼ばれる品種の渋柿から作られる干し柿だから、この名前がつけられた。

干し柿は、皮を剥き天日干しにして乾燥及び熟成をさせて作る。
市田柿の干し柿の特徴は、干し柿なのに柔らかく、
また、全体に砂糖のような甘い白い粉が自然とふくこと。干し柿と言うよりもお菓子に近い。

母の実家から送られて来るこの干し柿は、僕の家ではお正月のお菓子のひとつだった。僕は子どもの頃から干し柿が大好きで、特に市田柿が好きだった。
母の実家では干し柿はただ食べるだけではなく、
細かく刻んで酢の物に和えたりもする。
冬の食材のひとつとしても使われて来た。
僕の奥さんは、干し柿にクリームチーズを詰めて
洋菓子の様にする時もある。

干し柿を作る工程で、柿の皮を剥くのが1番難しい
皮剥きは熟練した女の人たちが行う。皮を剥いた柿を干すために、昔は紐で括り付けていた。
ところが近年、柿を吊すために紐にフックのついた物が開発された。
これだと素人にも出来るので、僕はこの工程を手伝っている。
寒いなか大変な作業ではあるが、年末になると母の実家の甥が市田柿を送ってくれるので、そのお礼の意味もあって僕は手伝っている。

僕が子どもの頃は干し柿、市田柿もそうだが種があった。だが、今は品種改良されて種がない物になっている。

昨日、作業をしながら実家の伯父から聞いたのだが今、市田柿も含め、干し柿が海外に輸出されている
市田柿は品質の良い物になると1個600円くらいする。これが輸出されると1個1000円以上になるので高級ドライフルーツとなる。
特に中国と台湾とシンガポールで評判が良く、高級ドライフルーツのため、旧正月のお菓子として富裕層の人たちが沢山買っているとのことだった。
また、カナダにも輸出が始まると言っていた。
僕が子どもの頃から食べて来た市田柿が輸出されるのを僕も嬉しく思っている。

僕は若い頃、出張でヨーロッパに行っていたが、
ヨーロッパの人たちの柿の食べ方は日本とは違い
完熟してトロトロになった柿をスプーンで食べる 
オリーブオイルをかけて食べる人もいる。

フランス支社の女性が来日した時、車から見えた
家の軒下に吊るされた柿を指差し、あれは何?と言ったので、干し柿と呼ばれる日本のドライフルーツだと答えると、面白い、と言った。そして食べてみたいと言ったので、次の日、僕は家から市田柿を持って来た。
その女性はひとくち食べると、美味しい、素晴らしいと言ってくれた。
その時から、日本の干し柿は海外でも通用すると思って来たが、それが現実になったのも嬉しい。

干し柿の歴史は長く500年以上と言われている。
織田信長は干し柿が好きで、まだうつけ者と呼ばれていたトリックスターだった時代、織田信長は干し柿をいくつも腰にぶらさけ、干し柿を口にいれ種を吹き出しながら歩いていたとも言われている。
この時代、砂糖はまだなかった。人間が作る1番甘い物は干し柿だった。
だから、和菓子を作る時の基本は干し柿よりも甘く
してはならない、だと聞いたことがある。

今の若い人たちは、干し柿を余り口にしないと思う
だが、今年のお正月はお菓子のひとつに干し柿を加えて、ぜひ食べて頂きたいと思う。
日本が世界に誇れる伝統的なドライフルーツだから


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