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哲学者を人間性から理解する

児玉聡先生の『オックスフォード哲学者奇行』を読んみました。以下ではその感想を記していきます!

人間関係は思考に影響する

 アンスコム、ヘア、ライルなどのイギリス哲学の重要人物たちが、たがいにどのような人間関係を結んでいたかが鮮やかに描かれています。

この描写を読んで思ったのは、「人間関係は思考に影響する」ことです。哲学という抽象的な概念を扱う研究でさえ、他の研究者との関係で方向性が定まることがあります。周囲の人の考え方を知らずに自分のものにしているのかもしれませんね。

性格と考え方の関係

また性格が思想に影響することも考えました。情熱的な性格の哲学者は、愛や性などの問題を力強く論じていたりします。

哲学は「人間」が考える営みですので、人間の在り方が考えにも影響すると思いました。

学派の面白さ

この本で描かれるオックスフォード大学の哲学者たちの思考に影響を与えた人物が、ライバル校ケンブリッジ大学出身のウィトゲンシュタインです。

ただし、ライバル校の哲学者とあって、そのまま全面的に主義主張を受け入れたわけではありません。ウィトゲンシュタインとの微妙な距離感の中で思索が展開されたことが描かれています。

オックスフォードとケンブリッジの両学派の間に流れていた微妙な「空気」がよくわかります。こうした緊張関係は学問を展開する上で重要でしょう。

軽やかな筆致で描かれた本書は、哲学好きな人にはもちろん、さまざまな人におすすめです。


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