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五類、コロナ…?

某国首相官邸

 内閣官房の橋本が「総理、このままでは経済が立ち行かなくなります。」

岸本総理
「それはそうだが…、コロナの人体の影響と国の経済か…?」

橋本
「多少の犠牲と国の存亡、どちらか選ばないと…」

医師会会長 東海
「私は医師、このままの五類への移行はコロナをかえって拡げて、医療が逼迫してしまい、医師、看護師、病院の減少が想定されます。」

橋本
「総理、コロナ拡大と国の経済どちらかを優先しないと…。」

岸本
「コロナを五類にして医療関係に伝染らない様に個人で判定してもらい、マスクも外しても安全な様に印象ずけて経済を優先する。」 

東海
「いくら説明しても御理解されない様ですね、それならコロナの特効薬を量産して全国隅々に行き渡る様にする事を約束してください。」

岸本
「お約束致します。」

 この国の人の未来は会議と言う名の密談で終わり、春の五月に五類の扱いに…。
 Withコロナ、五類のインフルエンザと同等扱い、重症化しにくい等とと未だに解らないウイルスとの戦いにノーガード状態のイメージを与え、この国の人はガードを下げてしまった。
 

会社員

 去年までコロナ禍を堪え忍び夫婦二人で念願のマイホームを構え長いローン抱えたが、息子と娘の笑顔を見たらそんな事は大した事ないと、隆は思う。
 家に帰ると娘の仁美が「花火…!」
どうやら、花火大会の事を妻の沙也加から聞いたみたいだ。
 息子の雷斗は既にその気になっていて、「いつ花火大会?」
連日の暑さの中もそんな些細な会話で、楽しく過ごす。
 沙也加が浴衣と甚平を用意してくれていた“夏の家族の小さな喜び"を、感じた。

報道

 「政府発表のコロナの“五類"の引き下げで、仕事も元通りになり街ゆく人のマスクが減りました。」と街頭インタビューのアナウンサーが話す姿に安堵していた。
 花火大会の前日の八月十八日も暑さが続いていて、明日の花火大会を楽しみにしながらスーパーで買物していた僕は暑さに負けてマスクを少しの間外して涼んでいた…。

花火大会当日


甚平姿の雷斗
「早く!!」とせがむ。
浴衣姿の仁美
「花火はどんなの…?」と
沙也加
「綺麗なんだよ、少し時間が必要なんだよ。 花火さんを待ってようね」
そんな会話を楽しみ出掛けた。
 花火会場はたくさんの人がいて、恋人や家族や友人やいろんな人達が夜の花火を見上げていて、家族お揃いでの花火に無邪気に喜んでいた僕だった。



会社の同僚


 同僚の仲村が今日は出勤して無くて、騒がしくない。
彼は呼吸の様に話をする奴で彼の話は楽しく弾ませてくれるので、今日は沈黙の職場と化していた。
 先輩の山名さんに仲村の欠席理由を、尋ねると山名さんがマスク越しに教えてくれた。
山名
「夏風邪で…と言ったけれど、たぶん新型コロナかな?」
僕は聞き返すと…「あの仲村がメールで、“や、す、み、ま、す。”」
 いつもは電話で話して、聞いてもいない理由まで話す仲村が…?



帰宅


 帰宅する途中、連日のこの記録的な暑さに晒されたせいか、身体が熱い。
いつもの様に帰宅して沙也加が迎えてくれて、いつもの様な生活を過ごす。
 いつの間にかソファで寝落ちしていて、沙也加、雷斗、仁美が「おとうさん、早く休んで…」と顔を覗き込み優しく促した。
 
 寝室のベットでどれくらい寝ていたのだろか、ふと目を覚まし気付くと身体が熱い…!
僕は隣に寝ている沙也加を起こして、「沙也加、身体が熱い…」
沙也加が額に手をかざして、「熱あるよ、熱中症…?、待ってスポーツドリンク持って来るね。」そして、冷蔵庫から持ってきてくれた。
沙也加
「スポーツドリンク飲んで、額と脇を冷やすからね!」

「ありがとう…」

 僕は翌日目覚めて額に手を当てると普段より熱があったが、咳をしない自分を単なる熱中症と決め付けていてた。
 10日程前に子供の分として、とりあえず買っていた“抗原キット”を使う事にし、新型コロナ抗原キットの判定が“陰性”の証明をする為に…。
 会社の同僚のは入院中の父親や後輩は産まれたばかりの子供がいたりといろんな事情を持って生きていたりするから……。
僕は沙也加に「判定は…?」と聞くと…。
沙也加
「えっ…、おとうさんアウト!!」

「えっ…」
いつもポジティブな沙也加は笑って、「流行の最先端だね〜!」
 自分の家の中でマスクをする人はそれ程いないと思う…、時は既に遅かった。
 会社へ電話し休暇をとった。

 4日くらいで“陰性”になった僕だが、沙也加、雷斗、仁美にと…。
 3人共、陰性に3日くらいでなった。
あれから、ほぼ1ヶ月雷斗と仁美は長引く咳に悩まされていて…、仁美は案外と軽かったのか、いつもの様にしている。
 僕は長引く“だるさ”を引きずりながら…、ゴールの見えない完治を目指す僕が子供達に…
「ごめんな、雷斗!」
「ごめんな、仁美!」
雷斗
「透明でわからないもの」
仁美
「色をつけたらさわらないのにね」
幼い子供に慰められる僕を横目に…。
 沙也加が「これからも、一緒に戦おう!、そして優勝するぞ…!!」
僕は「阪神タイガースかっ!」と!

 翌日会社に出勤するとお通夜の様になっていて同僚の仲村の席には、花が添えられいた。



夕方


 テレビのニュース番組でキャスターが「経済状況が上向きました。」と、賑わう街を見ながら話している。
 新型コロナの五類引下げで定点医療の感染者数の不透明度と引き換えに…。
某テレビの従業員出入り口前で警備員さんが、抗原キットを片手にしながら会釈する視線の先に医療マスクをして帰宅するあのニュースキャスターが”怠そう“にして歩く…。

 無色透明な敵が音もたてずに、貴方の傍にいる。
 人生すら簡単に変えてしまう、凶暴な五類コロナに気をつけて…!

 気をつけても、奴等は襲い来るからね…、侮ると貴方の大切な人や命すら奪い去る…!!
 


……………………  終  ……………………

 
 












 


 
 



 
 










 



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