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小説読むより映像が良い。は、違う。

私の友人にもかなり多い。

「活字読めないんだよねー。
だから、映画で見る方が良くない?」


確かに映像で作り出す世界観は、
目で見るものが全てで、明確である。

小説で想像しながら読むよりも
非常にわかりやすい。

しかし、小説で素晴らしいもの全てを
映像にしてしまうのは間違いである。

日常を描いた作品であり、特別なCGを必要とせず、映像に起こすのが容易であってもだ。


小説を読む時は、
自分の知っている世界から想像を広げるので、
人それぞれ捉え方が変わる。

人それぞれで、想像の限界がある。

映像に起こした方が、自分の捉えた世界観以上のものを知れる可能性があるのかも知れない。


でも、
世の中の小説には
自分の知ってる世界観を想像するだけで
精一杯な作品もある。

自分の想像の中でも苦しくて、
想像だからそれ以上は自制することができる。

映像は、それができない。
自分の見たくない、これ以上は限界というところまで見なくてはならない。

想像できないその先の世界まで見せてくるのだ。


ノーベル文学賞受賞者のアニー・エルノーの作品
『あのこと』

フランスで、中絶が禁止だった頃のお話。

先に小説で読み、
その後に映画でも見た。


私は小説の中で想像を膨らますのでも
苦しくて、読むのが辛かった。

映像では、自分の想像ではしきれなかったもっと辛い現実を見せつけられる。



『あの子は頭が悪いから』  姫野カオルコ

今、もうラスト100ページまできた小説。

正直、これ以上続けて読むのが辛くて、
だから今、一旦考えを書いてみることにした。

これは映画化されていないけれど、
これを「小説より映画で見たい」と言って
まともに見切れる人が居るんだろうか。


少なくとも私には無理だ。

あまりに辛すぎる。


だけど、この作品を知ることができてよかったと思ってる。読んで良かったと思う。


この作品は、
大した想像力もない私にとって想像できるだけの、小さな世界観だけでも、心が精一杯で、

だけど読むべき、知るべき内容でもあって、

だから
「小説読むより、映像が良い。」
って、それは絶対に違うって思った。

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