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国立古言語文化研究所・定例レポート2624年版
今から300年前のウェブログとみられるテクストを以下に示す。書き手はビデオゲームと親和性の高い一般人であると推察されている。
尚、文中の※は当研究所長、覇瀬銀一郎の注釈である。
2324年前半まとめ
皆さん、いかがお過ごしですか?
今年も折り返しですね。
僕の2324年前半は以下のような感じでした。月ごとに示してみます。
2324年1月
・今年は何か【新しいこと】をやりたいと考えていた。
・「メレンゲ牧場 season2」(※1)を見はじめた時期。
※1「メレンゲ牧場 season2」
大人気漫画『メレンゲセレナーデ』の実写ドラマ化。原作は範 例。season2は脚本家の原作に縛られない大胆な筆ぶりで商業的成功をおさめるも、翌年原作者は謎の死を遂げる。
2324年2月
・「フリージングホログラム」(※2)DZ(※3)に熱中していた。
・食べたものと朝・晩の体重を記録しはじめた時期。
※2「フリージングホログラム」
いわゆる剣と魔法の世界が舞台のRPG。亡国の公子が仲間たちと手を携えて世界を平定せんとするストーリー。1話から味方陣営に属する名脇役がラスボス。
※3 「DZ」
ディーズィー。Direct Zoneの略。nendow社が開発した世界初の体内埋め込み型ゲームプラットフォーム。左耳の裏側から脳へ直接接続する。今となっては信じがたいことだが、当時の接続作業は医療行為とされていた。
2324年3月
・ゲーセン(※4)で「脱地獄浄土」(※5)をやるのが習慣化しはじめた時期。コンシューマー機で出たら必ず買う。
・飲み会がそこそこあった。同僚とも、古くからの友人とも。
※4「ゲーセン」
ゲートオブセントラルの略。尚、20世紀後半から21世紀前半まではゲーセンと言えばゲームセンターを意味する語であった。ゲートオブセントラルも電脳ゲームワールド中枢への入り口を示唆するため先のゲーセンとほぼ同義であると見なせる。
※5「脱地獄浄土」
弾幕系シューティングゲームの究極進化版。難易度はゲーム史上最高とされる。ゲームスタートから、平均わずか8.61秒で3機撃墜、ゲームオーバーとなる統計データも発表されている。返金要請騒動も全国各地で巻き起こった。本作の商業的大失敗により以後、弾幕系ブームは消沈。現在の無幕系ブームの遠因となる。
2324年4月
・「サンビハインドアロー」(※6)をやりこんでいた。
・「脱地獄浄土」をワンコインでクリアできる確率が50パーセントぐらいになってきた時期。
・ノート(紙)だけでなく、ペンやインクについてもこだわるようになってきていた時期。
・強いて言うと「マカロンミーティング」(※7)について考えを巡らせていた時期かもしれない。
※6「サンビハインドアロー」
老舗ゲームメーカー・ジャレルが社運をかけて製作した新感覚ゲーム。有翼の猿に乗った少女が自身の霊魂を操り、悪の組織に奪われたセミの抜け殻を取り戻すべく弓矢で戦う全スクロールアクションゲーム。ストーリーの分かりにくさ、操作性の問題(上下左右奥行きの概念が消失している)、各ステージのボスが強すぎる等、かなりの異色作であり、商業的には大失敗。翌年ジャレル社は事実上の倒産となる。
※7「マカロンミーティング」
任意の小規模オフライン会合であると思われる。詳細は不明。
2324年5月
・新しいボールペンを購入し、ノート・手帳がカラフルになってきた。
・水をよく飲んでいた。
・「センゴクダンス」(※8)に参戦。
※8「センゴクダンス」
安土桃山時代をコンセプトに能・狂言+電子音楽で踊り明かすイベント。狂気と正気の境界線を否定する思想、ヌリズムの一端を垣間見せる。オーガナイザーのキヅ・ロウイチ氏は最終日の舞台挨拶で熱狂的ファンの凶弾に倒れた。
2324年6月
・蕎麦にハマる。
・「空の海の宮殿3」(※9)DZに熱中。
※9「空の海の宮殿3」
現実体感型アクションロールプレイングゲーム。主人公であるプレイヤー自身が現実世界で虫に刺されることにより強くなるシステム(虫刺されシステム)が採用されている。スズメバチに刺されると劇的に強くなることからこぞってハチの巣へ投石する行為が横行し、社会問題化した。
次回のレポートもお楽しみに。
いつもどうもありがとうございます。